薄氷

2011 年 4 月 12 日

 どのスポーツにおいても連敗中のチームが立ち直るには勝利が必要とされる。
 「絶対」と云っても過言ではないだろう。
 小さなズレが生じ、少しずつ歪み、大きな亀裂を生む。
 やりたい事のズレ、先発かベンチかで選手同士で啀み合いに始まり、最後は監督交代にまで話が進む。
 少しくらい良い負け方をしたところでは埋める事など決してない。
 負けは負けで改善には至らないし、小さなクラブでも起こるようにビッククラブでは必然だろう。
 ジョー・トーリが名門NYヤンキースを復活させても成績不振に陥れば容赦はしない。多額のサラリーを必要とするビッククラブでは勝利が必然であり、勝ち続けなければ賞金は手に出来ない。
 違う言い方を許して貰えるのなら、負けるという事はクラブの名を汚すという事実になる。
 名門ゆえの宿命なのだろう。
 経営側からすれば仕方ない話なのだが、この悲しみの連鎖もスポーツの一部といっていいだろう。
 日本にも日本シリーズがある様にメジャーリーグの頂点を決める戦いにワールドシリーズがあり、サッカーの世界においても欧州一のクラブを決める欧州チャンピオンズリーグ(CL)が存在する。
 ベスト4を決める戦いの佳境が訪れている。
 1stregのスコアを見る限り1試合を除いてベスト4は半ば決まった、と言っても過言ではないだろう。
 初の日本人対決を終えたCLの翌日のガゼッタ・デッロ・スポルトの寸評の内田の寸評では『内田はレギュラーで起用され長友が起用されないのは何故だろうか?』と指揮官を揶揄する寸評が掲載された。
 風間八宏氏の解説が聞きたかった為、見直したのだが長友がいなければ6点目を献上されててもおかしくないシーンが存在した。ホームで5点を入れられ、不貞腐れつつあったインテルの中で一人、気を吐いたプレーであった。長友のメンタルの逞しさが垣間見たシーンであった。
 リーグ戦のキエーボ戦で先発出場を果たし、ゴールを決めたマイコンとノーゴールでも同評価を得た長友。キエーボ戦のインテルはCLに皆無であった連帯感や勝利への飢えが感じられた。

 欲するには飢えが必要なのは子供でも分かる。

 そして、チームには着火剤もしくは起爆剤の様な存在が必要不可欠である。
 NYヤンキースがワールドチャンピオンになった起爆剤は間違いなく松井秀喜だろう。
 1試合6打点のメジャータイ記録を含むシリーズ3本塁打・8打点を記録し、4勝2敗でフィリーズを下し、9年ぶり27度目となるワールドチャンピオンに貢献した。
 以後、NYヤンキースはワールドチャンピオンには成り得ていない。
 CL前回王者の誇りを取り戻せるか。守備では安定剤になり、攻撃では起爆剤に成り得る長友。アウェイのシャルケ04戦がますます楽しみになってきた。

 楽しみや良き思い出ばかりのスポーツ界なのだが、私は生まれてこのかた「世界の名門」と呼ばれた日本政府に少しも良き思い出がない。普通に暮らせる幸せも言い換えるのなら良き思い出なのかも知れないが。
 現在、未曾有の危機に見舞われても自身の保身にばかり躍起になっている。
 過去の偉人達は政府や国民からの糾弾を受けても、自身の理想や理念を押し通した。
 「所得倍増計画」など最たる例だろう。
 反対していた者が黙り、結果、国民が笑った。
 
 負け続けている日本政府にも小さな勝利が必須である。
 無様でも小さな1勝が欲しい。


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