国家が危機的状況にあっても微笑ましいニュースが多々ある。
希望の光を見い出せそうなニュースも多々ある。
サッカー界からは3月18日、日本代表キャプテンのMF長谷部誠が初の自己啓発書『心を整える。』が発売され、印税は全額ユニセフを通して東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付される。
同書は「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」とサブタイトルが付けられた自己啓発書。
買い占めを始め、暴挙ともとれる行動をする者が多い中、サッカー日本代表のキャプテン自らが支援する姿に多くの日本人が拍手や賛辞を贈った事と思う。
発売から1週間で売り上げ部数7万部を突破している事から「長谷部誠」への関心を越え興味を惹いている事に嬉しく思う。
各界から『野球界は足並みが揃っていない』と揶揄される中、『サッカー界は一致団結している』と賞賛されている。
しかし、野球界の足並みを乱しているのは誰の目にも明らかな一個人の仕業であり、その行為によって野球界全体のイメージを悪くしたのは言うまでもないだろう。
しかし、サッカー界の足並みが揃っているのか。と問われれば、疑問符である。
今夏開催されるコパ・アメリカ辞退が囁かれている。
この千載一遇の機会というべきチャレンジを逸する。仮に辞退が決まれば、ライバル国である韓国が出場する。
日本はまだ、代表チーム>クラブチームであり、代表チーム<クラブチームではない。
極端な言い方を許して貰えるのなら、スペインのバスク地方の様な誇りもイタリアのミラノの威厳も持ち合わせていない。
ACLを制覇して本当に喜んだのは浦和と大阪だけと言っていいだろう。
だが、幸か不幸か今回の大震災により日本中が真の意味で一つになろうとしている。
勝っても負けても、サッカーを通じて日本中が心を一つに出来る機会を手放そうとしている。コパ・アメリカに参戦すればJリーグ各チームのエース級を引き抜かれる故の地盤沈下は容易に予想出来る。
だが、勝敗に関わらず感動や夢や団結の心を与えられるのも日本代表戦である。
2002年にあった熱狂が2006年にはなかった。そして2010年にあった。
差は何か。
私は絶望からの開放だと捉えている。
ノルマからの開放。
無関心からの開放そして期待。
上昇気流に乗ったチームは負けても賞賛された。とかく2010年のチームは失い欠けた熱自体を再び取り戻した。2011年アジアカップ制覇も2010年がなければ成し得なかった事に思う。
そんな2011年だからこそ、是が非とも出場して貰いたい。
辞退の理由も表向きは『日程調整』『自粛』と言い、腹の中は『前会長が独断で決めた大会だから』ではファンは断じて許すまい。
「二兎追う者は一兎も得ず」ということわざは誰もが知っている事だろう。
このままだと二兎を失うどころか兎も追えない位の能力低下、地盤沈下は避けられないであろう。
明日のチャリティーマッチはどんな試合を魅せてくれるか。
チケットは一瞬で売り切れた。火事場泥棒の様なチケットを転売する善意の欠片も持ち合わせていない輩もいる。
明日の試合で日本サッカー界の未来が決まる訳ではない。
私は明日の先にあるコパ・アメリカ参戦にこそサッカー界の未来があり、そして今こそ団結が叫ばれる日本の未来を強く信じている。