1%

2011 年 3 月 23 日

 少年時代、友人宅に遊びに行ってまでテレビに映し出されるJリーグの放送に噛じりついている私に友人の母親が妙な事を言ったのを今でも覚えている。

 『カズ?ミウラカズ?それってミウラカズヨシ?へぇ、あの時の少年がねぇ』

 何の事か分からなかった私は詳しく聞いてみる。
 『有名だったよ。当時の事を覚えている人も多いんじゃないかなぁ。世間がロス疑惑で揺れている時にロス疑惑渦中の人と同姓同名の高校生がブラジルに単身サッカー修行に行く、って。』多くの日本人がサッカーというスポーツを天皇杯やお正月に行われる高校サッカーでしか観る機会がなかった時代にブラジルまでサッカーをしに行く稀有な少年がいた。
 そんな事実を昭和のビックニュースと共に覚えられていた。
 故にサッカーに何の興味も示さなかった多くの日本人が覚えているのだろう。

 日本人がブラジルでサッカーをする格好をしているだけで笑われた時代にプロ契約まで果たす。
 Jリーグが誕生し「あの時の少年」も日本を代表するスターになる。
 自身の夢と語ったワールドカップも、あと一歩のところで2回逃す。
 ドーハの悲劇、『外れるのはカズ、三浦カズ』
 この2つはサッカーファンでなくとも日本中のが知っている事だろう。
 多くの人は当事者の三浦知良というサッカー選手に多くの同情を寄せる。
 前者は『選手として全盛期でありながら』といった同情と後者は選手として全盛期は過ぎていたとはいえ『日本サッカー界の功労者なんだから』といった同情。
 同情は別にして、同時期に母国イングランドでも「ポール・ガスコイン落選」が大騒動になった事から、いつの時代も、何処の国でも同じ同情が起こっている。
 しかし、三浦知良ことカズが夢を諦めず44歳になった今年2011年でも現役を貫き、次々に記録を刷新し続けている。

 興味がなければ人間の記憶とは曖昧なもので正しくは三浦和義と同姓同名「異字」であり、高校生でなく16歳の少年である。
 来たる3月29日に行われるチャリティーマッチは日本人の記憶に色濃く焼き付くよう様な試合を期待したい。
 被災地では観れないのでは。と懸念されているが、SONYは昨年の南アフリカワールドカップでアフリカの電気も通ってない村に発電機を用い、パブリックビューイングを成功させている。
 アフリカで出来て、日本で出来ない筈がない。

 今回の大震災後の混乱も素知らぬ顔を決め込み、苦しんでいる同胞を思いやれない人間が多々いる。

 今回のチャリティーマッチを通して、衰弱し、希望を失いかけた日本人に勇気や希望を与えて貰いたい。素知らぬ顔を決め込む方々の気持ちを1%でも動かして貰いたい。
 動かされた1%に大きな意味があり、サッカーには、その力が必ずある。と私はずっと信じて来た。

 カズは高校中退でブラジルに渡る時、監督に『人間100%とないけどお前は99%無理だ』と言われ、次の様に語っている。
 『じゃあ1%あるんですね?じゃあぼくはその1%を信じます』
 カズと形は違えど、私も動かされる1%を強く信じている。


コメントをどうぞ