強き者

2011 年 3 月 5 日

 19年目を迎えるJリーグ開幕を今日迎える訳だが、一足先にACLが開幕を迎えた。
 3月1日の日本勢は前年度日本王者の名古屋グランパスとガンバ大阪の2試合。名古屋はアウェイでの初戦を0-2の完敗。ゼロックス杯で時折見せた連携は完全に影を潜め、攻撃も守備もチグハグでバランスの悪い試合内容にサポーターは勿論、多くのサッカーファンもガッカリした事に思う。ガンバはホームでの初戦を5-1と一蹴、開始3分で先制点を決めると次々と好機を演出し、試合を完全に制圧していた。
 3月2日の日本勢はJ1復帰1年目で見事ACL出場権獲得のセレッソ大阪と鹿島アントラーズの2試合。セレッソは海外から熱視線が集まる乾貴士が見事なアシストから新加入のホドリゴ・ピンパォンが先制点を奪うと一時は同点を許すもホドリゴ・ピンパォンが再びゴールを奪い2-1で勝利を得る。新加入選手が試合を決めた試合ではあったが、香川、家長が抜けた穴を補う選手、昨年のチームに劣らない流れる様な連動性が目を惹いた試合でもあった。鹿島はアウェイで0-0のスコアレスドローではあったが、ホームの上海申花ではあったが守備意識が高い。鹿島も時折見せるカウンターも集中した上海DF陣の前にゴールを奪えない。開幕前という事もありコンディションにバラつきは否めないが肝心なシーンでトラップミスやパスミスといった初歩的なミスをしていてはゴールは遠い。強い鹿島が見れるにはまだ時間がかかりそうである。
 この試合で一番、目を惹いたのは残念ながら選手ではなく、審判であった。基本的にスライディングタックルという行為はボールに対して行う。いや、「行わなければならない」。足の裏を見せたタックルは特に最近は厳しくジャッジしている。理由として、怪我に直結するプレーという事。その中でも背後からのスライディングに対しては即レッドという処置を施している。された選手が予測不可能であり、運が悪ければ選手生命すら失いかねない。背後からのタックルで選手生命を絶たれたバロンドール保持者も存在した事から、サッカーの輝きすら奪う行為と言ってもいいだろう。そんな悪質極まりないタックルがこの試合1回や2回ではなかった。
 そんな当事者達のコメントである。
 『おれはディフェンスだし、凶暴になるのは当然』
 『サッカーは“男のゲーム”だ。痛いのが怖いなら家帰って洗濯でもしてろ』
 こんな事を言う選手もいた。
 『小日本め!』
 危険なプレーと厳しいプレーは紙一重であるが、タックルした選手達のコメントを見る限り、相手選手への敬意の欠片も感じさせない。試合を観ている限り、握手すべきシーンで握手を交わすことも少なかった。こんな事では欧米サッカー選手からのイメージは一生“アジアは所詮アジア”であろう。
 日本は代表レベルでは不可解なジャッジにも負けず王者となった。クラブレベルでも王者になる為にはこういった試合に勝ち切らなければならない。アウェイでの試合でスコアレスドローは妥当と考えるのは簡単だし、こういった者達には生ぬるい。アウェイで勝利し、ホームでは大勝を期待したい。鹿島サポーターの友人は『ホームでの上海戦はヤバイ雰囲気になると思うよ』と言っていた。
 しかし、日本勢がやらなければならないのは試合で、サッカーで返さなければならない。サッカーは紳士のスポーツである事を忘れてはならない。野蛮な事をやっている側に如何に幼稚で、時代遅れかを思い知らしてやればいい。
 UEFAが主催する欧州CLを観ても不可解なジャッジで涙を飲むチームが数多く存在する。しかし、その悔しさを糧にチームとして大きくなっていくチームを誰もが数多く知っている事に思う。欧州の審判のミスはオフサイド絡みだったり、疑惑のPKだったりする。背後からのスライディングを許してしまうACLの審判は欧州CLの審判と比べ、選手よりも遠いレベルにあると言っていい。
 ホームで勝利したガンバとセレッソ、アウェイで引き分けた鹿島、アウェイで敗れた名古屋。今日から始まるJリーグ、ホーム戦を落とさないチームの台頭を期待したい。
 先月、モウリーニョがホーム9年間無敗という記録を打ち立てた。過去にベンフィカ、ポルト、チェルシー、インテル、現在はレアル・マドリーを率いている指揮官は過去に率いたチームとの対戦後に涙を滲ませコメントしていたシーンを思い出す。彼はチームの指揮官である前に第一にチームのファンなのかも知れない。
 モウリーニョのアクションの全てがホームのファンの前で負ける事が許されないからこそのアクションであり、稀代の名将の根底にはチームを愛する事が見え隠れする。その力がホーム9年間無敗という実績を創り上げた気がしてならない。
 今日Jリーグが開幕する。
 真の強さとは何か。
 国内にも海外にも強いチームを一時でなく、真に強いチームをそろそろ観たい。


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