鷺と烏

2011 年 2 月 14 日

チームを指揮するレオナルドの目には、どの様に映ったのだろうか。

世界のサッカーシーンで白熱するダービーマッチ。
その中でも指折りの熱が帯びるダービーマッチの一つ「イタリアダービー」。
そのダービーマッチに日本人の出場があるかも知れない。
それだけでも私は心が踊ってしまう。

両チーム共に前節は快勝と呼べる試合を演じ、白熱したイタリアダービーを期待していた。
ホームのユベントスは前節、素晴らしいヘディングシュートを決めた長身FWトニを先発起用し、来季のCL出場権確保の為には負けは許されないチーム状況。
アウェイのインテルは前節、強豪ローマを5-3といった乱打戦を制し、レオナルド政権下4連勝を目指し、スクデット争いに踏み止まりたいチーム状況。
試合が始まり、両チーム共に中盤の好守が目立つ。
下馬評ではインテルが圧倒的に優勢であった。が、試合が始まらなければ分からないものでユベントスが優勢に試合を進める。
インテルはチャンスらしいチャンスを作れないまま、前半30分に先制を許してしまう。
前半終了時点で両チームのシュート数はユベントス3本に対しインテル1本。
ミッドウィークに国際親善試合が行われた為か、両チーム共にキレが無く、迫力に欠ける前半戦であった。

「後半に入り両チーム共、中盤で凌ぎを削る」と言えば聞こえは良いがラストパス、ファーストタッチの精度が低く、良い流れもオフサイドに引っ掛かるなど、スコアは動かない。
そんな中、後半27分、遂にその時を迎える。ユベントスが2部に落ちた過去を顧みても長い歴史を誇るイタリアダービーに日本人がその名を刻む。
前節はスナイデルと交代したのだが、今節はカンビアッソと交代する。
前節はD・ミリート、カンビアッソからパスを貰うケースが多かった、両者共に今節はピッチにおらず、効果的にボールを引き出す事が出来ない。
エトーをサポートする追い越す動き、廻り込む動きなど“らしい”動きで持ち味の一つを発揮する訳だが、裏で貰う事が出来なかった。
ただ1回だけあったロスタイムのたった1回はスナイデルとの呼吸が合わず逸してしまう。
ただの1回もスナイデルの方が一瞬先にスペースに気付いている。この「一瞬」を連携不足で片付けるか、判断力の欠如と受け留めるか。次節に期待したい。
この日、抜群に良かったユベントスのデフェンス組織を考慮したとしても、積極性の欠如は否めない。
81分のプレー、スナイデルからパスを貰いクラシッチと1対1の局面を作る。あそこでデフェンス力の乏しいクラシッチに仕掛けてクロス上げるという選択肢もあった。が、エトーに戻してしまう。
ボールを失わない選択ではあるが、状況を顧みると仕掛けて欲しかった。1点ビハインドであり、前節とは違い、「攻め」の交代なのだから仕掛けてクロスを上げて欲しかった。失敗してもコーナーキックになる可能性も高い。つまりは得点の可能性を広げる事にも繋がる。
試合は1-0でユベントスが久しぶりの連勝を飾り、まだまだ予断は許されないが今季のノルマ達成に踏み止まる。敗れたインテルはスクデット争いを行う上で痛い1敗になってしまった。

この試合で得点を挙げたイタリア人のマトリは『テレビで観ていた試合』と話す位に歴史があった1戦。日本人としてイタリアダービーで初めて名を刻んだ長友佑都。
レオナルド政権下、世界王者はかつての輝きを戻りつつあるが、モウリーニョ政権下とは大きな違いがある。
私は両サイドバックの上がりに目を向けたい。時に両サイドバックの上がりすら認めるレオナルドなのだから積極果敢に仕掛けて貰いたい。
長友は御客様ではなく、戦力として招かれている。と私は信じたい。
御客様と戦力、この両者には鷺と烏程の違いがある。

違いを証明してこその戦力なのだと私は考えている。


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