好敵手

2011 年 1 月 24 日

4日前に強豪アルゼンチン代表相手に初勝利を挙げ、多くの日本代表サポーターが永遠のライバルからも敵地で勝利を挙げるつもりでいたであろう。
遠藤保仁が代表100試合の節目を迎え、少ない練習時間では到底不可能な個人技による連動性を見せ、イタリアから来た新指揮官は何度も拍手を贈る。
結果は見応えの多いスコアレスドロー、その試合後に盛んに聞いた言葉がある。

『最後に本田が出してりゃなぁ』という愚痴。

南アワールドカップが終わり、互いに監督が代わっての日韓戦。
日本代表にとっては久しぶりの敵地ソウルでのアウェー決戦。ホームで日本代表以上に「絶対に」負けられない韓国代表。
親善試合とは名ばかりで両国のプライドを懸けた、闘争心剥き出しの闘いに日本でのテレビ観戦でも熱気が十二分に伝わった事に思う。
監督交代直後のチーム同士の親善試合はテストばかりで退屈な試合になることが多い。救いは新戦力の動きや活躍に集中する場合が多い。しかし「アジアのクラシコ」と云われるまでになった試合では退屈になることなどなく、90分楽しませて貰った。
『最後』というのは後半43分、中盤で本田圭佑がボールを奪うとドリブルを開始し、右に中村憲剛が走り、左に前田遼一が走る。
3対2の状況を作り、最後は本田のシュートで終わるのだが試合全体を通しても非常に惜しいシーンであったと同時に試合のハイライトであったと思う。
私は「来年のアジアカップで当たった時にでも、本田にはあのシーンの悔しさをその時にでも是非晴らして頂きたい」と自分に言い聞かせたのを覚えている。

私はこのアジアカップが始まる前、一番やりたくなかった相手が唯一韓国であった。
贔屓目に見ても間違いが無ければ、決勝戦まで行くと見ていた。
ピークの過ぎたオーストラリアに恐怖を感じなかった。今も変わらない。
トーナメント表を眺め、運が悪ければ準決勝で当たってしまうライバルの動きを注意深く見ていた。
グループリーグ初戦で同じ組のオーストラリア代表がインド代表に4-0で勝利した時から、この対戦は決まっていたのかも知れない。
韓国に「パク・チソン通り」まで存在する英雄の「パク・チソン」が、このアジアカップを最後に韓国代表のユニフォームを脱ぐ。
その英雄に「有終之美」で終わらせたいのは本人は勿論、チームメイトの希望でもある。
準々決勝のイラン戦、全く勝てなかったイランに勝てたのは『パクさんに華を』と思う気持ちが日本人の私が観ていても感じ得ることが出来た。延長戦までもつれた試合で勝利を呼び寄せたのは目には決して見えない「気持ち」の部分が大きい。
サボらず、集中し、次への余力など微塵も感じさせない位に個人個人が戦っていた。
アジアカップベスト4に残った4国の中で楽に勝ち上がって来た国などない。
どの国も引き分けを経験し、オーストラリアも準々決勝を延長戦までもつれ、苦しんで勝ち上がって来た。
幸か不幸か、日本がアジアカップを制した大会はライバル韓国とは1度も対戦していない。
その時はやって来た。
韓国代表の気持ちの前に日本代表は何を持って戦うのか。
「気持ち」には「気持ち」で挑むしかない。

失ったアジアの盟主を取り戻したいのなら、どんな形でも勝つべきだ。
昔は勿論、今も韓国に綺麗に華麗に勝てる程、日本はまだ強くはない。
しかし、このシュチュエーションでライバル韓国に勝ち切ることが出来たのなら、ザッケローニ監督政権にとって、初めて前途洋洋だと言って良いのではなかろうか。


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