金言

2011 年 1 月 22 日

指揮官の擁護であろう言葉が是程、ハマった試合は過去にあっただろうか。
大会が始まり、無得点のナンバー10に指揮官は『彼は間違いなく重要なゴールを挙げるだろう』と語った。
語った、その1戦目でのナンバー10の爆発的な活躍により逆転勝利を飾る。

試合序盤は初戦のヨルダン戦に戻ってしまったかの様なパフォーマンス。足元だけにパスを預け、追い越す動きや、ボールを預けてからの動きやポジションチェンジも少ない。出足の鋭いカタールの守備に加え、㉓セバスチャンを起点とした突破に日本は再三、苦しめ続けられる。先制点はオフサイド気味ではあったが、決められてしまう0-1。今後、相手にボールを奪われた瞬間に相手の起点選手にマークするという好守の切り換えの早さを求めたい。
ヨルダン戦に戻ってしまったかの様な試合展開。ヨルダン戦で途中投入された選手がこの試合は松井大輔に代わり、先発出場している。岡崎慎司の動きだけが目に留まる。ボールを引き出す動きに加え、労を惜しまず何度も裏を狙う。前半に至っては本田圭佑でもなく、ナンバー10でもなく、岡崎の動きがチームを牽引したと言っても過言ではない。
岡崎のループシュートを押し込むといった香川真司らしくない、ナンバー10らしくない待望の同点ゴールが生まれる訳だが、岡崎の裏を獲り続けた姿勢、シュートで終わる姿勢がなければ同点ゴールは生まれなかったであろう1-1。
後半に入り、吉田麻也の若さには怒りすら覚える。吉田にはサッカーというスポーツは選手1人欠ければ、チームにどれだけ迷惑をかけるか、今一度学ぶべきに思う。負ければ終わりの決勝トーナメントという舞台を考えた場合、彼のした行為は最低に等しい。1枚目は多少、仕方が無いにしろ2枚目は最後に足を出さなければカードは出されなかったと思う。ましてや、完全アウェーの試合である。一人の身勝手がチーム全体の迷惑になることをアジアカップを通じて学んで欲しい。
カードを貰い続ける優秀なDFの話など聞いた事があるであろうか。
吉田の犯したファールからFKを決められてしまう訳だが、サッカーに余り詳しくない方にもFKにおける壁の重要性が理解出来た事に思う。勿体なく、残念な失点1-2。
「チームが苦しい時に助けるのがエース」という無責任で、身勝手な金言が存在する。
サッカーだけに限らず、エースと呼ばれ続ける選手の宿命と言っていい。
その宿命に打ち勝った者だけが後世まで語り継がれるであろう伝説の選手になる。
ブンデスリーグ前半戦MVPの実力は伊達ではなかった。右利きの香川が左足でGKの動きをしっかり見て冷静に蹴り込む。一見、簡単に見えるかも知れないが、飛び出して来るGK相手に難しいゴールである2-2。
数的不利を感じさせず、試合は進む。アジアカップが始まり、2試合に1度のペースで10人で戦う日本代表を観ている訳だが、逞しさを感じずにはいられない。
醜いファールを何故か流された後に再びナンバー10が躍動する。キーパーを交わし、PKに相応しいファールも流された後に北京五輪アジア最終予選カタール戦で決勝PKを与え、チーム敗北に直結させた過去を持つ、伊野波雅彦にとって決して忘れられない記憶が残る同じカタールの地、同じ相手に悪夢を払拭する決勝点を伊野波本人が叩き込む3-2。
決めるべき選手にゴールが生まれ、波に乗りたいが、なかなか安定しないDF陣には不安を抱かずにはいられない。
中澤佑二、田中マルクス闘莉王不在の中、物足りないパフォーマンスが続くが、経験を積む上で必要な時間を噛み締めて過ごして欲しい。

試合前、相手指揮官は『日本はアジアのバルサ』と評していた。本音かリップサービスか知る由もないが、もし「アジアのバルサ」を意識するのなら決勝点の得点シーンを何度も繰り返す事に思う。
決勝点は香川の突破から、倒されこぼれたボールを伊野波が決勝点を決めた訳だが、特筆すべきは起点となった長谷部誠のパスであろう。あの距離を正確にライナー性のシュートの様なパスを出せる技術。そのシュート性のボールをピタっと止める香川の技術の高さ。最後の最後で「アジアのバルサ」らしさを垣間見れた。
先制点を奪われ、追いつき、退場者を出し、勝ち越され、数的不利になりながらも同点にし、逆転し、見応えある試合を観戦出来ている事。と共に1戦1戦毎に逞しくなっている日本代表を見れるのが嬉しくて仕方がない。
是程、次戦が楽しみでならない日本代表は何年振りだろうか。
準決勝の相手は韓国かイランか、相手に不足はない。準決勝という壁を打ち破る事こそが2007年に失ったアジアの盟主奪還の道への1歩である。


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