-2+1

2011 年 1 月 10 日

イタリアから来た指揮官にとって、アジアでの戦いの難しさに驚きにも似た険しさを覚えた事と思う。

日本は4-2-3-1に布陣に対し、ヨルダンは5-3-2の発表ではあったが私から見て4-3-2-1の布陣を敷く。
誰もが、キックオフと同時にドリブルを開始する本田圭佑のプレーから、この試合への期待は大きく膨らんだ事と思う。
前半はボールホルダーに対し、積極的にチェックを仕掛けてくるヨルダンになかなかシュートで終わらない展開が続く。
その中でも長谷部誠、吉田麻也、香川真司のシュートで「惜しい」展開が続く。
アルゼンチン戦や韓国戦で見られた「3」の部分の頻繁なポジションチェンジが影を潜め、相手を「引っ張る」動きが無い為、相手の守備陣形を崩すに至らない。
日本は守備に至っても、ヨルダンの様な気迫の籠った球際の守備が見られない、この守備が最悪の結果に繋がってしまう。
44分に先制点を許してしまうシーン、左サイドでの競り合いに勝ったヨルダンがボールを素早く18の選手に預ける。
シュートモーションに入った事に反応した遠藤保仁が懸命にスライディング、躱されてしまうのだが、ゴール前であるのに次の選手がいない。
遅れた吉田が出した足にボールが当たりアンラッキーな得点を許す。
吉田に責任は無いが、DFとして最も必要な危険察知能力の欠如は否めない。
このあたりが「経験」と呼ばれているものであり、若さでは買えない財産に思う。
後半に入り、前田遼一に代わり李忠成が入る。
李の売りは裏に抜けるプレーが特徴なのだが、ヨルダンの低いDFラインに対しては逆効果の様に私には映った。
アタッキングサードで前を向いても、シュートを打たなければヨルダンDFラインは上がって来ないし、李の特徴も生きない。
松井大輔に代わり岡崎慎司が投入され、左サイドにいた香川が「3」の中央に入るとリズムが出始める。
しかし、ペナルティエリアに時に8人も入るという守備固めをするヨルダンDF陣はなかなか崩せない。
香川は相手の嫌がる場所に顔を出すという長所を出す一方、本田の長所である強いシュートを見せること事が出来ない。
FKだけの強いシュートを持った左利きの選手にヨルダンDF陣も随分と楽をさせて貰った事であろう。
後半ロスタイムに香川の機転の効いたショートコーナー、長谷部のクロスから吉田のヘッドで同点にし、勝ち点1を何とかモノにした日本代表。
今日の1失点は、これからの相手に大きなヒントと希望を与えた事を考えると勝ち点以上の何かを失ったに思う。

ザッケローニ監督が指揮した2戦の相手は「強き者」であった。
その「強き者」に対し90分走り、1戦目を歴史的勝利で飾り、2戦目を見応えのあるスコアレスドローを演じた。
そのイメージのまま試合に臨んだのは悪くはない。
しかし、昔から日本代表は『強い相手とは闘い、弱い相手にお付き合いする』と揶揄されている。
顕著に出た試合だったと思う。

アジアにおける日本の立場は「追われる立場」にある。
「追われる立場」である日本は今後も今日の様な試合展開が続くであろう。
ゴール前に引いた相手に有効な手立ては「シュートを打つこと」という事実は誰もが知っている話。
そのシュートを打たずして、華麗に綺麗に決めようとしたツケをこの試合、支払った。
誰もが興奮したであろう吉田のゴールを技術的に優れた「美しいゴール」と思う者は皆無であろう。

日本サッカー界が欲しているのは綺麗や華麗、ボール支配率ではなく、勝利だという事を誰もが感じた事と思う。

前回大会の2007年、イビチャ・オシム前監督が率いて挑んだ初戦は終了間際に追いつかれ勝ち点1を獲得している。
つまりは勝ち点「2」を失った。
しかし、今回は勝ち点「1」を獲得した。
 
-2と+1
チームを構築していく上でこの「差」は大きい。

イタリアで「過去の人」と揶揄されるザッケローニ。
「過去の人」か否か、次戦が楽しみである。


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