第一人者

2011 年 1 月 8 日

京都勢の決勝戦といえば石塚啓次氏の名が先ず、思い浮かぶ。
負傷のエースが満を持して決勝戦で途中交代の際に起きた大歓声は現在思い浮かべても震え立つ、私の中で美しい思い出の一つ。
決めるべきエースが決める。
そんなありふれた理想論が顕著に出た準決勝だったと思う。

『全国の公立校に夢を与えたい』という言葉を松本悟監督から試合前に聞いていたが、多くの公立校が夢を与えられたのではなかろうか。
ロングパスを殆ど使わず、丁寧にショートパスを繋ぎ、試合を作る京都府代表 久御山高校に多くのサッカーファンが唸った事に思う。
「ショートパス主体で来る」という事は試合前から千葉県代表 流通経済大柏高校(以下 流経高)も分かっていたであろう。
しかし、捕まえきれない時間帯が続く。
その裏をかいたかの様なロングパスからの先制点は流経高のゲームプランを大きく狂わせたと思う。
その後も大きく蹴り出さず、愚直なまでにショートパスで試合を組み立てる久御山高。
ショートパスのイメージの共有が出来ており、敵を背負っても動じない。
各選手がボールを受ける前のフェイントに至っては高校生離れしていると言って良い。
前半40分に流経高は負傷のエース14吉田眞紀人を投入し、状況打開を試みる。
ファーストタッチで惜しいラストパスを送ると後半に入っても圧倒的な存在感を発揮する。
前が空いたら即シュート。
この形が後々、功を奏する。
後半7分、この時間で流経高は最後の交代のカードを切る。
8宮本拓弥に代わって、15杉山賢史を投入。
この交代が大きく試合の流れを変える。
杉山が入った事により吉田が中央から右サイドにまわる。
後半17分、左利きの吉田が右サイドからカットイン、DF陣を引き連れ、空いた逆サイドにラストパス、左サイドに杉山が落ち着いて決め、試合を振り出しに戻す。
同点になり、息を吹き返した流経高が試合を支配し始めるが、久御山高のDF陣の集中力が途切れず、拮抗した試合展開が続く。
お互いに運動量が落ち出した後半28分久御山高10坂本樹是のシュートがDFに当たりコースが変わったシュートはゴールに吸い込まれる。
「シュートは打たなければ入らない」とは良く云うが、まさに典型の様なゴールであった。
勝ち越しを許し、猛攻を仕掛ける流経高だが、大きくクリアをし始める久御山高の前にゴールは遠い。
後半40分を過ぎ、久御山高は時間稼ぎをしてもおかしくない時間帯であったが時間稼ぎをする事をせず、果敢に攻める。
そんな矢先の後半42分の9進藤誠司の同点ゴールであった。
試合はPK戦に突入し、流経高14吉田9進藤19田宮諒が外し、久御山高が初の決勝戦に勝ち進むわけだが、久御山高が時間稼ぎをすれば『PK戦まで縺れなかった』という意見を耳にした。
時間稼ぎに対して賛否両論あるが、最後まで正々堂々と高校生らしく戦った久御山を私は讃えたい。
しかし、課題は少なくない。
しっかりボールを繋ぐのを信条にしているチームなのだが、相手の攻撃をヘディングで処理した方が良い場面で胸トラップをし、ボールを失うシーンが多々見受けられた。
そこでリスクを負う必要性はない様に思う。
リスクマネジメントを考え、俊足の味方を使うショートパスを相手DF陣背後に送る攻撃を織り交ぜれば46回大会以来の京都府優勝、85回大会の覇者、盛岡商業高校以来の公立校優勝は目の前に思う。

続く





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