人心収攬

2011 年 1 月 2 日

ある著名な大学監督が試合でも練習でもチームを鼓舞する時に『ちゃんとやろう』と言われるそうだ。
コーチを務める友人達に聞くと『何でも無い言葉なんですけどタイミングが絶妙なんですよね』という言葉が返って来た。
そしてこう付け加えた『実績もレベルも日本最高峰の選手だった監督だから、選手も監督の真意を汲み取れるんでしょうね』と。

しかし、ノラリクラリとプレーしている様に見える選手もいる。
もっとも、わざとノラリクラリとプレーしているわけでは決して無い。
それが彼のプレースタイルなのだろう。

ある著名な高校監督が巧い選手を例える時に『いるんですよね。ボールを受ける時の雰囲気っていうんですかね。ボールを持つ瞬間のゾクッとする感覚を持った選手』と語る。
その高校の卒業生に話を聞くと、『あんな10年か100年に1人の大先輩と比べられたら、みんなちょっと巧い凡人ですよ』と苦笑いをしたのを覚えている。

今日、観戦させて頂いた青森県代表 青森山田高校主将、柴崎岳のプレーを見ていて御二方の言葉を思い出してしまった。
1人だけ別次元のプレーを魅せる。
試合前から立ち見の多かった西が丘サッカー場が柴崎の存在に拍車をかけた気がする。
ボールを持った時に一瞬だが、静寂がスタジアムを包む。
顕著に出たシーンは2点目のアシストであろう。
ボールを持った瞬間に静寂が訪れ、美しい放物線を描き、8 三田尚希の足元へ。
1プレー1プレーにスタンドが響動き、コーナキックの際にはスタンドからカメラのシャッター音が響く。
ボールを持ったらシンプルに出す。
FKも逆足で蹴る。
目の肥えたファンも魅了した事だろう。
攻撃ばかりに目が行きがちだが、ディフェンス時のポジショニングも絶妙である。
少しでもボールコントロールがズレる瞬間を虎視眈々と狙っている。
故にボール奪取が美しい。
奪うというより掻っ攫うといったところか。
高校生のピッチに1人だけベテランが入った様なプレースタイル。

ゴールデンエイジと呼ばれた世代は何故、ゴールデンエイジと呼ばれたのか。
ただ単に良い素材が良い時期に現れたという「運」だけでは決して無い。
強さの裏には若年層の強化を睨んだ日本サッカー協会の海外遠征が要因の一つにある。
プラチナ世代のナンバー10を背負い、国際大会の出場経験のある柴崎。
当時程の遠征回数は無くなっても着実に成果は出ている。

柴崎が高校サッカーを選んだ理由の一つに『高校サッカーの方がドラマがあるから』と語っている。
自身が3年生になった今年、昨年の様に来年は存在しない。
死に物狂いになる柴崎岳が見れるか。
このまま淡々と頂点まで登り詰めてしまうのか。

明日の相手は10 樋口寛規11 浜口孝太を中心に高い個人技、高い連動性、爆発的な得点力で勝ち進んで来たインターハイ準優勝高、滝川第二高校。
明日がまた楽しみである。


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