幸福

2011 年 1 月 2 日

新年を迎え、毎年楽しみな元日決戦が来た。
今年の元日決戦は両チーム共にACL出場がかかった1戦であると同時に、鹿島は大岩剛の現役最後のラストゲーム。
清水は長年チームを支えた伊東輝悦、市川大祐、そしてOBであり、監督の長谷川健太の清水ラストゲーム。
見所の多い試合だったと思う。
試合が始まるとお互いに中盤をコンパクトに熾烈な球際の争いが続く。
次第に鹿島がボールを支配し始める。
ボールを支配出来る理由は一つではないが、一つ挙げるとしたらパスのスピードにあると私は考えている。
フワッとしたパスによる組み立てが多い清水に対して、ビタッビタッと足元に強く早いショートパスを送り続ける鹿島。
支配する事を考えれば、鹿島のパス回しの方が有効に思う。
ディフェンスをする場合、フワッとしたパスは、パスが人から人へ渡る間に追いつける。
しかし、強く早いパスは分かっていても追いつけない、が長所があれば短所が存在する。
止める、蹴る、といった基礎技術が高くないと続かない。
現代サッカーの教科書と言っていいバルセロナの攻撃を見ていても、フワッとしたパスはロングボールかラストパスのみ使っている。
CKから鹿島が先制すると、鹿島ペースで試合は進む。
後半に入り、14分オフサイドトラップをかいくぐったヨンセンが決め、試合を振り出しに戻す。
興梠慎三、大迫勇也といった鹿島のツートップが労を惜しまず走り、それによって出来たパスコースが出し手の選択肢を増やす。
清水はヨンセン、小野伸二、岡崎慎司を前線に3枚並べても顔を出す動きが少ない為、攻撃が活性化されない。
野沢のFKが決まり、試合を決する。
エースとして君臨し続けたマルキーニョスが抜け、不安視されていたが抜けた後の鹿島の攻撃の方がスピードがあり、流動的で、熟成すれば面白い存在に思う。
今季のリーグ戦、そしてACLでの活躍を期待したい。

試合終了後の優勝セレモニーは本当に美しかった。

「他人の幸福を羨んではいけない」
聖書にも書かれている金言である。
しかし、この日の大岩剛を羨まない人はいないのではないか。
選手生活を有終之美で終えられる事。
天皇杯をチームで一番最初に掲げられた事。
通常、優勝カップはゲームキャプテンを務める者が一番最初に掲げる。
しかし、ゲームキャプテンを務める小笠原満男の粋な計らいによって大岩が掲げた。
きっと大岩の人柄が小笠原をそんな気にさせたのだと思う。

「他人の幸福を羨んではいけない」
この言葉には続きがある。
様々な使われ方がされ、どれが正解で正しいか、定かではない。
きっと答えはない。

来季、袖を通す事のない星の一つ増えた新ユニフォームを身に纏い、大岩剛はこの日ユニフォームを脱ぐ。
監督に重宝され、チームに必要とされ、選手に愛され、そしてファンに愛さた大岩剛。
愛すべきチームで引退出来るだけでも選手としても幸せな事に思う。

調べると、こんな言葉に出会えた。

他人の幸福を羨んではいけない
なぜならあなたは彼の密かな悲しみを知らないのだから。

大岩剛選手、お疲れ様でした。


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