点と線

2010 年 12 月 29 日

あの日、冷え切った熊谷スポーツ文化公園陸上競技場での熱い大逆転勝利の勢いのまま、頂点まで駆け上がると思っていた。
試合終了間際の中盤を省略した試合展開で相手ペナルティエリア付近にボールを放り込む、所謂パワープレー。
今野泰幸の競り合いからの石川直宏の同点ゴール。
大竹洋平の素晴らしいパスからの追加点。
トーナメントを征する上で必要な「勢い」が感じられた。

「勝っているチームはいじるな」

という、どの団体競技にも共通する格言にも似た金言がある。
スターティングメンバーに大竹がいない準決勝に、個人的に大きなクエスチョンがあった。
試合巧者の鹿島相手に徐々に押し込まれる展開が続く。
その中での平山相太の先制点は素晴らしかった。
華麗で豪快であった。
後半、一進一退の攻防が繰り広げられる。
61分、本山雅志が入った事による「タメ」が出来る。
直後67分、大迫勇也がネットを揺らし、同点を許すが、試合はそのまま終了し延長戦へ。
体力的にもキツイ時間帯で好守が目立った米本拓司が二枚目のイエローカード。
頼みの石川も癒えていない右足を気にする。
満身創痍のチームの中で森重真人、今野の踏ん張りがチームに切れかけた集中力を再び蘇らせる。
PK戦まで行けば、チームを何度も救ったGK権田修一が必ずやってくれる。
そう思ったに違いない。
延長後半終了間際を迎え、鹿島の巧みなボール回しにも揺さぶられず、ゴール前をガッチリ守る。
パワープレーをしない鹿島を見て、PK狙いだな、と思った。
しかし、試合巧者と呼ばれるチームは最後まで試合巧者であった。
本山のDF裏を狙ったパスに大迫がシュート、こぼれ球を興梠慎三が決め、試合終了。
受け手と出し手の阿吽の呼吸が生んだゴールに私は思う。

あの日、FC東京はアビスパ福岡に何故勝てたのか。
理由は一つでは無い。
一つである訳が無い。
だが、私は左サイドに位置した出し手の大竹が右サイドの受け手の石川へピッチを切り裂く斜めのパスを送り続けたが故の大逆転勝利だと考えている。

世界を相手にする場合、日本人は小柄であるのは承知の事実。
鹿島のラストプレーにこそ、日本人の特性を生かしたラストプレーである事を教えられた気がする。
ひょっとしたら日本の未来のパワープレーの形なのかも知れない。

監督の為にチームメイトの為の有終之美の為に戦い、大黒柱、遠藤保仁を欠き精彩も欠いたガンバ大阪に勝ち切った清水エスパルス。
エース、マルキーニョスを欠いても勝ち切った鹿島アントラーズ。

元日決戦が楽しみである。
そして、この日、国立競技場で生まれた全ゴールは“元”高校サッカー出身者である。
第89全国高校サッカー選手権大会も明日、ここ国立競技場で開幕する。


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