自然淘汰

2010 年 12 月 25 日

沈まぬ太陽という作品がある。
山崎豊子氏が描く、とある会社の非情、その不条理に不屈な闘いを挑む男の物語である。
映画化もされ、映画という限られた時間の中でありながら、壮大で緻密な物語に山崎豊子ファンのみならず、新たなファンをも獲得したと私は思っている。
誠実で屈する事を知らない主人公の恩地に多くの方が心打たれた事と思う。

私は屈する事と諦める事は似ている様で全く違うと考えている。
屈する事は「弱まる、挫ける」
諦める事は「ダメだと思い切る」と辞書にも記してある。

サッカーに置き換えた場合、二つの言葉の意味は全く別物に思う。
ダメだと思い切った選手からは闘争心が消え、存在感が示せない。

今日、天皇杯準々決勝FC東京vsアビスパ福岡を観戦させて頂いた。
諦める事を知らず、不屈の精神で後半ロスタイムに追いつくという素晴らしい熱戦であった。
J2からJ1に昇格を決めたチームとJ1からJ2に降格するチームという来季を意識する上で両者にとって腕試しとしては最高の組み合わせ。
ファンでなくとも手に汗握るという形容詞がぴったりハマる試合。
今年2010年、私の中で日本人選手として一番辛い思いをしたのでは?と考えていた石川直宏の活躍が何より嬉しかった。
素晴らしい試合であったが残念なニュースを耳にした。
アビスパ福岡を率いる篠田善之監督が会見の最後に『東京の選手が唾を吐きかけた』事について『非常に残念』と言及。
先制され、後半ロスタイムに追いつき、延長で逆転し、突き放し、1点返され、3-2のスコア。
せっかくの素晴らしい試合も、こういったニュースは非常に残念でならない。
試合前、参加させて貰った草サッカーでも似た様なシーンがあった。
プロにしろアマチュアにしろ、相手を苛立たせるのは一つの作戦かも知れない。

だが、人を傷付ける様な作戦でサッカーの反映はあるだろうか。
真のサッカーの反映はあるだろうか。

山崎豊子氏の作品の主人公達は常に誠実である。
共存共栄を望み、決して完璧でなく、人間臭く、私の中で愛すべき主人公達。

人に唾を吐きかける選手など、選手の前に大人として人間として如何なものか。


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