八咫烏

2010 年 12 月 23 日

高校生の頃、夏休みが終わってから迎える高校サッカー選手権の予選が楽しみだった。
敗北への恐怖も、楽しみであった。
何が、そんなに楽しみであったか。

大会パンフレットという物が存在する。
各都道府県、時期は違えど地区大会からスタートする。
シード権というものがあり、春から始まるインターハイ予選に勝ち抜いた優勝校、準優勝校がベスト32か16から予選に参加する。
中には実力を考慮してか、ベスト4から大会に参加する県も存在する。
強かろうが弱かろうが同じ県である以上、同じパンフレットに高校名、個人名が記される。
都道府県によって異なると思うが出身中学、もしくは前所属チームの名前が記されている。
そして主将には登録背番号に◯が付けられる。
主将が1番の背番号なら①といった形で記される。
パンフレットに自分の名前が記されるのを嬉しく思っていたが、何より嬉しかったのが八咫烏の描かれた旗が記されるのが、たまらなく嬉しかった。
誇らしかった。
八咫烏の描かれた旗に「JFA」と書いてあった。
つまりは日本サッカー協会のシンボルマークがパンフレットの頂点に描かれている。
いつから意識したか覚えていないが、足が3本ある変わったカラスの絵を強烈に意識したのは間違い無く高校生の頃からである。
何故か、誇らしかった。
ついこの間まで誇らしかった八咫烏のシンボルマークが今は濁って見える。
正直、お金で揉めて欲しくは無かった。
お金で揉めた間柄は必ずと言っていい程「シコリ」が残る。

我が国のスポーツ選手への報酬は他国に比べると、寸志に近い。
オリンピックで金メダルを獲得しても、一生は保証しては貰えない。
他国は違う。
普通に暮らせば一生を過ごせてしまう程の報奨金を支払う国さえ存在する。
そんな他国程、金メダル獲得数が日本に比べると桁違いに違う。
では、選手達はモチベーションとお金を天秤に乗せお金を選んでいるのか。

断じて違う。

数多くのオリンピック選手が自身が志した競技でオリンピックに出場し、日本を代表する事を誇りに思っている。
同じ様にプロのサッカー選手も日本代表として蒼いシャツを纏う事を誇りに思っている。
私個人としては選手側の主張に大賛成である。
主張に一本、筋が通っていると私は思っている。

残念でならないのが日本サッカー協会会長、小倉純二氏の言葉。
『ボイコットしたいならどうぞ』である。
続けて『それ以外の選手でやればいい』と語る。
会長がこんな態度では協会のイメージが悪くなるばかりでなく、サッカーのイメージも悪くなる。
トップならトップらしく、紳士に聡明な態度で物事に向き合って欲しい。

中澤佑二は言う。
『次世代の為に、絶対に勝ち取らなければならないと思います』
次世代の為に・・
もし選手側の主張が通れば、サッカーに限らずオリンピック選手の待遇も変わっていくと私は考えている。
中澤のコメントを私は日本全国のプロアスリートに力を与えるものだと信じている。
シコリが残らない様、両者が歩み寄り、紳士に、他のスポーツ協会も関心する様な結末を期待したい。

忘れてはならないのはサッカーというスポーツは紳士のスポーツである。
選手を、人を思いやらずお金を選んだ組織の反映は過去にあっただろうか。
濁った八咫烏など見たくもない。


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