新陳代謝

2010 年 11 月 5 日

世代交代を失敗したチームの行く末は悲惨だ。
失敗したチームが過去に常に強く、常に優勝戦線に絡んでいたチームならば、より悲惨だ。
分かり切った事だが、人間の老いは止められない。
チームの中心にいた選手の老いも同じ様に止められない。
老いを微塵も感じさせず、毎年素晴らしい活躍をする選手は怪物といっていいだろう。
弱き者となったチームの名声は過去のものになり、常に優勝に絡んできた強豪がいつのまにか皮肉を込めて「古豪」といわれるようになってしまう。
こういった事実は日本に限られた事ではなく、世界中で起こっている。
前回ワールドカップを制したイタリア代表もユーロ2008惨敗後の翌日のガゼッタ・デル・スポルト紙の見出しは『我々はミイラ』であった。
人間は無意識に血の循環を行う。
血の通った人間が行うサッカーなのだから、循環は必要不可欠だと私は思う。
エースが退団したチームに新しいエースがすぐに生まれない様に。
サッカーも、人生も、いつまでも良い時間に縋りつく事など出来やしない。

11月3日行われたナビスコ杯決勝はジュビロ磐田がサンフレッチェ広島を打ち負かした。
サンフレッチェ広島のエース佐藤寿人を欠いていたとはいえ、随所に“らしさ”を魅せた。
だが、エースの差がゲームの勝敗を左右したのは誰の目にも明らかであろう。
次期ジュビロ磐田エースの21歳の山崎亮平も輝いていた。
しかし、この日の前田遼一には絵に書いた様なエース像があった。

同日、世界最高峰欧州チャンピオンズリーグで37歳のフィリッポ・インザーギが得点を決めている。
37歳という年齢を考えれば、怪物と言っていいだろう。
苦しい時間にゴールを決め、試合を左右する決定的な仕事が出来る選手こそ、人は敬意を込めてエースと呼ぶ。

かつて日本代表のエースは?と問われれば誰もが口を揃えて『カズ』と答えた。
タイプも違ければ、プレースタイルも違う。
だが私は、この日の前田遼一に往年の大エースの姿を重ね合わせてしまった。

カズがいたヴェルディ川崎は強かったが世代交代に失敗した様に思う。
山崎亮平を台頭に若手が着実に力をつけ始めたジュビロ磐田。

強かったサックスブルーが帰って来たのかもしれない。


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