歳月

2017 年 6 月 11 日

 あれから20年。

 日本サッカー界にとって初のW杯(ワールドカップ)出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」から20年の歳月が経った。「歓喜」を記念し、7日に東京スタジアムで開催された国際親善試合シリア戦のユニフォームは、当時を思い起こさせる“炎”を身にまとった。

 だが13日に開催されるW杯最終予選イラク戦を見据えた試合は1-1に終える。48分に平凡なクロスから失点を喫し、58分にMF今野泰幸の得点によって同点には追いつく。

 後半から投入されたMF本田圭佑、MF乾貴士を起点に好機を連発するが、試合を決める勝ち越し点を奪えず試合は終了を迎えた。試合終盤、幾度も日本代表に流れを引き寄せながら横パスやバックパスで相手に“一息”いれる時間作らせてしまったのは、今後の課題と言っていいはずだ。

 では、20年前の日本代表はどうだったか。

 当時の中心選手だった中田英寿氏は、若干20歳ながら、誰よりも勝利に貪欲だったし、その熱を年上の選手たちに物怖じせず伝えつづけた。その後もそのスタンスを貫き現役生活を終えた。

 当時の日本代表にとって中東はまだまだ手強い相手だった。勝ったとしても辛勝の印象が濃い。ジョホールバルでの3-2の激闘の相手も中東の雄、イランだった。

 あれから20年。現在の日本はアジア全域が恐れる存在になった。日本代表も、選手も、日本サッカー界全体が進化したのは紛れもない事実である。

 選手のレベルは信じがたいほど向上した。欧州5大リーグ(英、伊、西、独、仏)に日本人選手たちが在籍しているのは確たる証拠だろう。だからこそ、ホームでのシリア戦は勝たなければならなかった。アジアで恐れられる日本だからこそ、強さをもって威厳を示したい。

 この日先発出場したDF昌子源は試合前、昨年末に開催されたクラブW杯決勝戦を振り返っている。欧州王者を相手に2-2で延長戦に突入し、サッカーファンのみならず日本人の多くが夢を見た試合だ。だが昌子は「レアル・マドリーは本気じゃなかった」と振り返っている。

 「欧州チャンピオンズリーグ決勝戦(日本時間6月4日開催)のレアルは全然違った」と語り「俺らがやったのはレアルじゃなかった」とまで話している。

 クラブチームと代表チームを比べるつもりは毛頭ない。だが、レアル・マドリーの根幹にはいつの世も、どんな相手にも勝利だけを求める姿勢がある。そこに“白い巨人”と恐れられる由縁があるはずだ。

 日本代表はおそらく6大会連続でW杯出場を決めるだろう。しかし、どんな相手にもホームでしっかり勝ち切る姿勢がなければ、更なる進化は望めるのだろうか。

 あれから20年。ジョホールバルにあった炎が妙に懐かしくなる、雨降るシリア戦ではなかっただろうか。


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