奏功

2016 年 10 月 15 日

 イビチャ・オシム氏が病魔によって倒れると、岡田武史氏が日本代表監督を引き継いだのは2007年。2009年には南アフリカW杯出場権を獲得する。

 しかしW杯イヤーになってもチームの方向性は定まらず、苦しい戦いを余儀なくされる。主将をDF中澤佑二からMF長谷部誠に任せる“テコ入れ”を施したのは、本番直前のテストマッチでのことである。

 イングランド、コートジボワールといった強豪相手に歯が立たず、W杯に突入する。そこから岡田氏が導き出した答えがMF本田圭介をFWに据える奇策だった。

 この“ワントップ本田”は見事フィットし、グループリーグを2勝1敗でベスト16に進出。パラグアイにPK戦の末に惜敗したのは今から6年も昔の話である。

 FW岡崎慎司の負傷により、ワントップ本田を2018年ロシアW杯アジア最終予選、グループリーグ最大のライバルであるオーストラリア相手にヴァヒド・ハリルホジッチ監督は用いた。

 この奇策ともいえる戦術が奏功する。

 長谷部、本田を経由しMF原口元気の3試合連続得点でアウェイの日本が、理想的な形で前半5分に先制点を挙げる。その後は現アジア王者オーストラリアに攻め込まれるも、無失点で前半を乗り切る。

 後半7分に先制点を挙げた殊勲の原口がPKを献上し、同点弾を許すがその後は得点を与えずオーストラリアから勝ち点「1」を日本に持ち帰ることに成功する。

 南アフリカでの“勝利”から6年を経過した現在でも“奇策”に頼らなければならないことに、警鐘を鳴らしたい。

 イングランドではFWウェイン・ルーニーは現地時間8日、ホームにマルタを迎えた一戦でMFとして先発フル出場を果たし2-0の勝利に貢献したものの、ファンからはパフォーマンスに不服としブーイングを浴びせられている。

 現地時間11日のスロベニア戦では先発から外れ、後半終盤のみ出場するが勝利に貢献できず0-0に終えている。フィールドプレイヤーとしては同国代表史上最多出場となる117試合を誇り、同代表の歴代最多得点を記録している大エースだが、現在はポジションを約束されていない。

 所属するマンチェスター・ユナイテッドでも試合出場から遠ざかっており、来夏には移籍、とまで話は発展している。奇しくも本田も所属するミランでは出場機会に恵まれていない。

 国こそ違うが、ルーニーも本田も長らく代表チームを支えた選手だ。イングランドはW杯出場へ視界良好の首位だが、日本は次戦のサウジアラビア戦の結果次第では黄信号が灯りそうな状況だ。

 綱渡りの最終予選は注目を集め、そのゆえに選手も精神的に強くなるはずだが、チームを作るハリルホジッチ監督にとっては試行錯誤の日々が予想される。奇策や奇襲は、何度も通用しないのが世の常だからだ。


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