屈強

2015 年 12 月 23 日

 欧州王者・バルセロナが他を圧倒する地力で4年ぶり3度目の優勝を果たし、幕を下ろしたクラブW杯2015だが、開催国枠で出場したサンフレッチェ広島は3位決定戦でアジア王者・広州恒大を2-1で下し3位に輝いている。

 広島は、準決勝では南米王者リーベル・プレートをあと一歩のところまで追い詰めるが、0-1の僅差で敗れた。決勝点を喫したシーンでは広島GK林卓人のキャッチミスが批判を浴びた。

 試合後に「GKのミス」という言葉だけが一人歩きした印象が濃い。サッカーにミスは付きものだが、果たしてGKのミスだけを責めてよいものだろうか。ならば、南米王者相手に決定機を外しまくったFWにも同様の批判があってもいい。

 このいささか酷な報道は、見方を変えれば日本人GKのレベル向上を助けるものになるはずだ。失点はクロスボールをキャッチにいった林が、その手前で相手に触れられたものだった。あの状況を見た日本全国のGKたちは、キャッチでいくのか、パンチングで逃れるのか、よい判断材料になることを願いたい。

 当の林は「失点は自分のミス」とは認めているものの、そういう歴史の1ページを作っただけでも意味がある。とかくGKというポジションに対し、決して評価が高くないこの国では今後につながる意味のある“ミス”であって欲しい。

 広島は、今大会と同じ「開催国枠」で出場した3年前のFIFAクラブW杯ではアフリカ王者・アル・アハリに敗れ、5位で大会を終えている。しかし、今大会ではアフリカ王者・マゼンベに3-0の完勝。決勝進出を狙っている南米王者が準決勝を全力で来るとは考えにくいが互角以上の戦いをみせた。

 アジア王者も北中部大陸王者を後半終盤に逆転勝利して準決勝に勝ち進んでいることを考えると、アジアのレベルは着実に上がっていることを示唆するものだろう。

 3位決定戦では日程的に1日有利だったとはいえ、来季のACL(アジア・チャンピオンズリーグ)を見据えると、試金石となる一戦を2-1で逆転勝ちしている。

 毎シーズン主力級の選手を引き抜かれながらも、今シーズンはJリーグを制覇し、天皇杯でもベスト8に残っている。元日決戦までは26日の準々決勝、29日の準決勝を勝たなければならないが、クラブW杯でみせた戦いを安定したものにするためには決勝戦を残して、今年を終えて欲しい。

 3位決定戦後に広島が勝利すると「30幾万クラブの3位」という言葉がメディアから聞こえてきたが、少年少女たちのためにも事実はしっかり伝えたほうが良い。大陸王者としてクラブW杯に出場しているチームのほうが、はるかに屈強だということを。

 来年のクラブW杯2016には開催国枠ではなく、「アジア王者」としてJリーグのチームの出場を是非願いたい。


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