慢心

2015 年 11 月 6 日

 EURO(欧州選手権)2016フランス大会にオランダ代表の姿はない。32年ぶりに大会出場を逃し、サッカーファンにとって驚きとともに悲しいニュースとなっている。

 いつの時代も攻撃サッカーを披露し、世界中を熱狂させてきただけに惜しむ声は後を絶たない。2014年のブラジルW杯では、準優勝に終わったアルゼンチン代表に準決勝でPK戦の末にやぶれはしたものの、3位決定戦では開催国ブラジルを3−0で一蹴し、3位で大会を終えていた。

 W杯終了直後から始まるEURO予選では、オランダは比較的やさしいグループに入った。チェコ、アイスランド、トルコ、カザフスタン、ラトビア。強豪との対戦は避けられたはずだった。

 オランダ代表がEURO出場を逃した32年前をふり返ると1984年の奇しくも同じフランス大会。1974年に西ドイツW杯において天才FWヨハン・クライフを筆頭に革新的なサッカーで大会を席巻したが、決勝戦で惜敗している。その4年後のアルゼンチンW杯でもクライフを欠きながら準優勝を果たし、その6年後にEURO出場を逃している。

 2010年南アフリカW杯において準優勝を果たすが、同じように6年後のEURO出場を逃している。スタープレイヤーの高齢化などの世代交代の失敗、W杯における好成績による慢心があったことは想像にむずかしいものではない。

 そのオランダ代表は、13日にウェールズとの親善試合を行う。ここで同国歴代最多得点を記録保持者であり、主将のFWロビン・ファン・ペルシーの招集を見送った。世代交代かと思いきや、若手成長株“筆頭”のFWメンフィス・デパイの招集も見送っている。

 その理由を「いいプレーをしているとは思わない」とダニー・ブリント新監督は説明する。

 名前や実績にとらわれない、強豪オランダ復活への道のりは始まったばかりだが、1990年代にオランダ・アヤックスの黄金時代を築いた選手の一人として名を馳せたブリント監督だけに今後も注目したい。

 5日、12日シンガポール戦、17日カンボジア戦の2018年ロシアW杯アジア2次予選に挑む日本代表が発表され、GK林彰洋、FW金崎夢生がヴァヒド・ハリルホジッチ体制で初の日本代表招集となった。

 金崎は、10月31日のナビスコ杯決勝戦において鹿島アントラーズ優勝に大きく貢献し、その活躍が監督の目に止まったようだ。結果を出した選手が招集されるのは正当な評価である。監督も、どのポジションでも競争を必要とし「今回のメンバーにも、見送られたメンバーにもA代表に入ったと思うな」と釘を刺している。

 オランダ代表に起きたことはどの代表チームでも起こりうる。日本代表の選考基準をみると、オランダのそれとは多少異なる。だが、結果を残した選手がすぐに招集されたことだけには共感がもてる。


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