提起

2015 年 10 月 17 日

 サッカーの試合の敗戦後、ミックスゾーンで不満を爆発させる選手は数多くいるが、監督、フロント、ファン、メディアに対し、こと細かく問題提起をしたのはおそらくMF本田圭佑が初となるだろう。

 5日(日本時間)本田が所属するACミランは、ホームでナポリに0-4で敗れ、2試合連続でベンチを温めていた日本代表MFはその後、不満をぶちまけた。

 要約すると、監督には「選手に責任があるという時点でナンセンス」と言い、フロントには選手獲得にお金を使うか、チームの構造の部分の見直しを、ファンには「勝てば良いのか」といった評価基準、メディアには「試合後に誰が良いとか悪いとかを話し合う時点でナンセンス」と、それぞれ訴えた。

 この発言を受け、ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督は「選手が代表戦に行く前にはよくある」と、深刻にはとらえてはいないものの「戻ってきたときに話をしたい」と語り、フロントは「立場をわきまえろ」とは言いつつも、あまり意に介さない態度をとっている。

 ところがこれまで本田に対し、「目立つのは金髪だけ」と辛辣な論評が目立っていたガゼッタ・デッロ・スポルト紙は「ミランを立ち直らせる方法を知っている」と書き、コリエレ・デロ・スポルト紙も「ピッチで批判は多いがミランについて特別な分析」と“本田寄り”のコメントを残している。

 しかしファンの意見は、真っ二つに別れている。「ミランから出て行け!」とののしる者がいれば、「歴代の10番で一番ヘタ」という者もいる。その一方で、「まさに正論」「よくぞ言った」「勇気のある発言に感謝」と褒めちぎり、「ついにその背番号にふさわしい発言をした」と皮肉を忘れないものもある。

 ただ、サッカーに限らずスポーツの世界では結果を残していない選手に冷たいのは周知のとおりだ。本田は今季リーグ戦で得点がない。それでもチームを良い方向に向かわせるための問題提起は、サッカーに見識のある多くのイタリア人も認めている。

 そんな本田は8日、負ければ自力での首位通過がなくなるロシアW杯アジア2次予選シリア戦で1得点1アシストを記録し3-0の勝利に貢献したが、13日の親善試合イラン戦では結果を残せず1-1の引き分けに終わった。

 これから本田に待ち受ける道は、生半可なものではない。

 だが、1989年にミランに入団し、チームの黄金期とともにキャリアを主に控えとして送り、1997年までチームに在籍したFWマルコ・シモーネは「サッカーの素晴らしいところはアホ呼ばわりされていた選手が、1分後には英雄になれてしまうことだ」という意味深なコメントを残している。

 本田には訴えた問題提起に恥じない、プレーでチームを立ち直らせる選手になることを望みたい。


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