氷州

2015 年 10 月 7 日

 欧州は佳境をむかえている。来年おこなわれるEURO(欧州選手権)2016フランス大会の出場権をめぐり、昨年の9月から争われていた予選は今月の9日から14日の間に出場国のほとんどが決定する。

 ところがこの期間、緊張感なく迎える国が4つある。9月の時点でEURO出場を決めたイングランド、チェコ、オーストリア、そして総人口33万人に満たない北欧の小国アイスランドである。

 サッカー協会設立が100年を超える国がめずらしくない欧州で、1947年設立の“若い”アイスランドサッカー協会はW杯の出場はなかったが、ついにEUROフランス大会で悲願の初出場を決めた。

 これまで16カ国しか与えられなかったEUROの出場権が今大会から24カ国に増大したが、そのことに無関係での出場は立派というほかない。2013年11月、アイスランドはブラジルW杯にあと一歩まで迫るがプレーオフでクロアチアに敗れ、夢は断たれた。

 今年37歳になるアイスランドの英雄FWエイドゥル・グジョンセンはこの敗戦で代表を引退する。クラブチームでは数多くのタイトルを獲得したがW杯とEUROの出場はなかった。15年間母国の代表を支え、クロアチア戦後に流した涙は、多くのサッカーファンの涙を誘った。

 グジョンセンを見て育った才能たちが、イングランド・プレミアリーグに現在数多く在籍し、活躍していることもEURO初出場と無関係ではない。そういう系譜がアイスランドにはある。

 1日、8日のW杯アジア二次予選シリア戦、13日の親善試合イラン戦に挑むサッカー男子日本代表が発表された。多くのファンがかつてほどの高揚感もなく「発表」を迎えているのが現状だろう。

 現在、無所属のGK川島永嗣の選出はまたしても見送られた。主な理由は「試合に出てない」というものだが、この理屈を発表された代表選手たちに重ね合わせてみると、つじつまが合わない選手が何人かいる。それならば、Jリーグで毎試合出場している選手のほうが今後を考えると有益ではないだろうか。

 その反面、オーストリア・ブンデスリーガのザルツブルクで今季はリーグ戦9試合で6得点、4つのアシストも記録しているFW南野拓実の初選出は合点がいく。つねに絶好調の選手は存在しないが、好調を維持している選手は国内外問わず招集されるべきだろう。

 ブラジルW杯での惨敗と人選を思い返して欲しい。あの悔しさを知る選手たちが現在もチームの中心にいる。そのときに何が足りなかったのか、どうして負けたのかを伝えていくのがその選手たちの責務のはずだ。

 グジョンセンの活躍がアイスランドの若い世代を奮起させたように、戦う姿勢、代表の誇りを若い選手たちに伝えていって欲しい。日本代表にとって、そんな中東2連戦になることを切に願いたい。


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