貪欲

2015 年 9 月 10 日

 2018年ロシアW杯アジア2次予選・第3節アフガニスタン戦が同国の政情不安のため中立地のイラン・テヘランで行われ、日本代表が6−0で圧勝した。

 今年3月、日本代表監督にヴァヒド・ハリルホジッチ就任から3連勝をかざったものの、6月にW杯予選が始まるとその“勢い”は停滞してしまう。6月のシンガポール戦のスコアレスドロー、8月の東アジアカップでの最下位。

 ハリルホジッチ監督の手腕は疑問視され始めた。そんな評価を払拭する、憑(つ)きものが落ちたような試合だった。

 前半10分、MF香川真司の思い切りの良いミドルシュートで大量得点の口火を切る。それからは思いのほか攻めあぐねるが、先制点から25分後の前半35分、MF本田圭佑のアシストがこの試合を決定づけたと見えなくもない。

 試合前、勝利するには「技術よりメンタル」と話していた本田は、身を投げ出すスライディングで2点目のアシストを記録した。言うは易く行うは難し、ではないがチームをけん引する選手が、小手先の技術ではなくタッチラインを割るか割らないかの状況で、貪欲さを感じさせるプレーで有言実行を果たしたのは見逃せない。

 現在テレビ解説などをつとめる、アテネ五輪の日本代表を率いた山本昌邦氏はよく「国際舞台での試合は1cm、1mmの部分で、どれだけ勝負できるか試される」と解説する。

 その点でいえば本田はぎりぎりの部分で勝負したし、泥臭くも結果に結びつけたことはピッチに立つほかの選手も感じていただろう。ファンが見たかったのはこの試合のような「戦っている試合」ではなかっただろうか。

 6月からの日本代表戦をみて「戦ってない」と感じた方もいただろうし、実際そう評価されてきた。しかし、この試合での日本代表をみてネガティブに評価する者は決して多くはないはずだ。

 ハリルホジッチ監督もまた、攻め手を緩めなかった。5点の大量リードの状況でDF酒井宏樹を下げて、FW宇佐美貴史を投入し、その3分後には6点目のアシストを記録した。たとえ多少の運があったとしても、ガンバ大阪のFWの投入がなければ6点目は生まれなかったはずだろう。

 チームはこの日のイメージや闘志、心意気を忘れずに、ファンたちはこの試合を基準にすべきだろう。そういう目線が、これからのサッカー男子日本代表が「戦っているか、いないか」を判断する基準にもなるはずだし、A代表のプレーは下のカテゴリーの選手たちと全Jリーガーにも影響するはずだ。

 次回の日本代表戦は来月8日に行われる。「2015年9月8日のアフガニスタン戦が分岐点になった」と言われるような今後を期待したい。ハリルホジッチ監督が率いる日本代表は、まだまだ秘めたる力があることをこの日示したはずだ。


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