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2015 年 9 月 7 日

 イングランド・プレミアリーグは、東南アジアで絶大な人気を誇っている。たとえ自国の代表選手の名前が分からなくとも、マンチェスター・ユナイテッドの選手ならスタメンでなくとも分かる国民もいる。

 その一つの国でもあるカンボジアは、2018年ロシアW杯アジア1次予選を突破したことで6万人収容のスタジアムはつねに満席となり、空前のサッカーブームが起こっているそうだ。

 ロシアW杯アジア2次予選で、日本代表と0−0で引き分けたシンガポールの熱狂ぶりも凄まじい。日本とのスコアレスドローは現地で“誇り”とまで称された。

 東南アジアでの盛り上がりを見ていると、かつての日本とかさなる部分が多々ある。

 彼らにとって、W杯の舞台が見果てぬ夢ではなくなっている。今年5月にニュージーランドで開催されたU-20W杯にはミャンマー代表が初出場を果たしている。国家レベルで若年層のレベルアップに費やせば、やがてはA代表に還元される仕組みを日本代表が示してきた。

 MF小野伸二、MF稲本潤一、FW高原直泰などは2002年のW杯本大会を見据え、中学生のころから多額の資金をかけ育てられた原石たちだ。彼らはその後、U−20W杯で準優勝を果たしたのは単に才能だけでは片付けられない育成があったからに他ならない。

 そうした日本の過去が現在、東南アジアでは教科書になっている。

 ミャンマー代表がU-20W杯初出場を果たし、また6月にはシンガポール代表が日本代表と引き分けた実績は、東南アジアにとって誇りになっていても不思議ではない。

 3日、アジア2次予選・第2節カンボジア戦が埼玉2002スタジアムで行われ、日本代表は3−0で勝利した。

 この勝利は、6月から悪い流れにあったハリルホジッチ政権を安堵させるものなのか、34本シュートを打って3点という結果に叱責(しっせき)するものなのか、人によって評価は異なる。

 この試合はカンボジア全土に放送され、テレビの前で神妙な面持ちで試合を見つめるカンボジア国民が映しだされた映像は、かつて日本がW杯に近づいたときそのものだった。

 1999年U-20W杯で準優勝を果たした小野、稲本、高原たちはいわゆる「黄金世代」として知られている。その育成に着手したのが、彼らが14,5歳、つまり遅くとも1994,5年ということになる。

 その当時、日本代表はドーハの悲劇により寸前でW杯への道が断たれたそのときである。その頃に2002年W杯招致を見据え、若手を育成し結果をもたらしファンを熱狂させた。

 カンボジア戦の勝利に不満をもつファンが多いのは、日本もそろそろ「勝ち方」が求められる国になったその証拠だろう。かつて日本にあった先見性がなければ、日本代表が東南アジアに追い越される日もそう遠い未来の話ではないはずだ。


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