悪癖

2015 年 6 月 18 日

 カナダで女子W杯の熱戦が繰り広げられている。

 大会8日目、番狂わせは起きた。FIFAランキング3位のフランスが同28位のコロンビアに0−2で敗れる。ボールポゼッション60%のフランスが放ったシュートは21本、対するコロンビアは3本。わずか1本外しただけで勝利した。

 こういう試合こそサッカーの面白さに貢献しているが、フランス国民からすればたまったものではない。

 大会連覇を目指すなでしこたちは、課題を口ながらもグループリーグを全勝で通過し、決勝トーナメント進出に成功している。大会前、連覇はむずかしいと言われていたものの初戦を1−0で下したことにより、波にのった印象が濃い。

 初戦の相手のスイスは欧州の予選を10戦無敗、53得点1失点を記録した難敵だった。仮に初戦を引き分け、もしくは黒星スタートしていたら、べつの道を歩んでいた可能性はたかい。

 それほど、大会初戦はチームの方向性を決めてしまう。

 高校サッカーでも、高校野球でも優勝候補筆頭の強豪校が初戦で敗退するのはめずらしくなく、プロとアマチュアが混合する天皇杯も例外ではない。

 16日、男子W杯ロシア大会アジア2次予選が埼玉でおこなわれシンガポール代表と0−0で初戦を終えた。シンガポールは11日、日本よりも先に“初戦”をおこなっておりカンボジア代表をアウェイの超満員のスタジアムで0-4と一蹴し、W杯予選の“ウォーミングアップ”は完了していた。

 試合前日の15日に「日本とはレベルが違う」と監督はコメントしながら、したたかに日本と戦うイメージを練りに練っていたはずだ。負けを望んで、のこのこ試合会場にやってくる酔狂な監督はいない。

 日本のシュートがポストやクロスバーに直撃した場面もあり、たとえシンガポールGKイズワン・マフブトが、神がかったファインセーブを連発したとしても現在の日本のレベルを考えると引き分ける相手ではなかったはずだ。

 シンガポールの選手たちは試合が終えるとピッチ上で記念撮影などをする一方、日本の選手たちは「がんばろう日本」というフラッグを手に取りスタジアムを一周するとスタンドから「ふざけんなよ!」とブーイングを浴びせられる一幕があった。

 選手たちはふざけてはいないだろう。

 ただ、勝利へのアイデアが足りなかった。ドリブルが得意な選手が長所を出さず、日本の悪癖(あくへき)ともいうべき攻撃陣が相手DFと一緒に行儀よくペナルティエリア前に並んだ。シンガポールの選手たちもさぞ守りやすかっただろう。

 日本のランキング52位に対し154位、ボールポゼッション66%、シュート23本、被シュート3本。ランキング以外は前途の対戦とシンガポール戦はあまりに酷似している。

 ただ、敗戦だけはまぬがれた。


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