提言

2015 年 6 月 13 日

 1994年アメリカW杯が開幕し、大会中にMFライーからセレソン(ブラジル代表)のキャプテンを任され、大会制覇に貢献したMFドゥンガはジュビロ磐田に在籍時「日本人は急ぎすぎる」とコメントした。

 ジュビロは1993年のJリーグ誕生から2年目、94年から加入を果たす。そのシーズンを年間8位で終え、翌95年は年間6位に終えた中堅クラブだった。静岡県という日本有数のサッカーどころで発足したチームだけあり、Jリーグでも下位に沈まなかったのは“地力”があった、たしかな証拠だろう。

 そのチームにドゥンガが95年途中から加わる。96年は年間4位で終えるが、翌97年には初のJリーグ制覇を成し遂げている。ドゥンガは加入後、試合中にジュビロの選手たちを怒鳴りちらす姿はよく知られ、まず日本人のメンタリティーの低さと効率の悪さに驚いたという。

 ゴール前で効率の悪い攻めをしたFW高原直泰に「そんなに一人でサッカーがしたければCKもお前が蹴れ!」とCKを蹴らせたエピソードはドゥンガの人となりを示すものだろう。

 そして選手の「待遇の良さ」に大きな疑問をもった。日本が経済大国だということは知っていたとしても、10代の選手が高級車に乗っていることにドゥンガは驚き「サッカー選手の成長には良くない」と最後まで選手たちに訴えつづけたという。

 プロフェッショナルの何たるかをドゥンガに叩きこまれたチームは常勝軍団になったが、98年にドゥンガが去り、そのプロフェッショナルを叩きこまれた選手たちもチームを去った現在では、J1から降格しJ2の舞台で戦っている。

 11日、2018年ロシアW杯アジア予選前の最後の強化試合が横浜でおこなわれ、イラク代表を縦に速いサッカーで圧倒し4−0で一蹴した。新戦力も台頭し、16日のシンガポール戦では更なる進化を期待したい。

 ドゥンガはジュビロ在籍時、「日本人は急ぎすぎる」とコメントした。若い選手が活躍すれば、過剰なほどの期待をよせることを忌み嫌った。「たしかに有望かもしれないが評価するには一度や二度では早い」ともコメントした。

 ハリルホジッチは日本サッカー史上43年ぶりに就任3連勝を飾った監督になったが、ドゥンガが日本に残した提言に照らし合わせるとどうだろうか。アルベルト・ザッケローニも“この時期”の評価は他に類をみないものだったのを覚えているファンは少なくないはずだ。

 ドゥンガは2014年ブラジルW杯終了後に2回目となるセレソン監督に就任する。それからの強化試合は8戦全勝し見事なまでにチームを建て直している。W杯優勝を期待されながら4位に終わり、落胆したブラジル国民が笑顔を取り戻すにはまずコパ・アメリカ2015の躍進だろう。

 14日、セレソンは大会初戦を迎える。


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