雌雄

2015 年 6 月 5 日

 昨年7月から始まったUCL(欧州チャンピオンズリーグ)は6日、決勝戦を迎える。イタリアのユヴェントスとスペインのバルセロナがドイツのベルリン・オリンピアシュタディオンで雌雄を決する。

 ユヴェントスは準決勝で前回王者レアル・マドリーを倒し12年ぶりに決勝戦に進み、19年ぶりの欧州制覇をめざす。ながらく低迷していたイタリアの盟主は、クラブ所有のスタジアムを2011年に完成させると、クラブのDNAを取り戻し国内リーグ4連覇。欧州でもあるべき場所に戻ってきた。

 一方、4年ぶり5回目の欧州制覇を目指すバルセロナは現バイエルンミュンヘンを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督が2012年にチームを去って以降、不幸も重なり“まとまり”を欠いた。

 今季からクラブOBのルイス・エンリケ監督が就任すると、チームの絶対的なエースFWリオネル・メッシと“仲たがい”するものの、システムを選手に合わせると結果は如実に表れる。

 メッシ58点、FWルイス・スアレス24点、FWネイマール38点と前線の3人で今季120得点を記録する。スペイン史上最高の3トップを擁するバルセロナが下馬評では有利の色が濃い。

 今季の国内リーグ、国内カップを制した2冠同士がUCLの決勝戦で3冠を懸けたファイナルは記憶にない。ユヴェントスにとって初の3冠なるか、バルセロナにとっては2回目となる3冠達成となるか注目が集まっている。

 今季UCL決勝戦の会場は2006年ドイツW杯決勝戦の舞台でも使用された荘厳(そうごん)なベルリン・オリンピアシュタディオンは、歴史を紡いできたスタジアムである。

 1936年のベルリンオリンピックは、アドルフ・ヒトラーのオリンピックとして知られ、メインスタジアムとして使用された場所こそ今季のUCL決勝戦の舞台であり、ドイツにとっては負の遺産のはずである。

 その建造物を取り壊さず、1974年の西ドイツW杯でも使用し2004年には規模が大きくなったW杯のために拡張工事すら敢行している。世界には、とかく欧州には、たとえ負の遺産であっても歴史をくり返さないよう、同じ過ちを犯さないよう、戒(いまし)めにしている建造物が多いのは周知の事実だろう。

 日本ではどうだろうか。

 1964年に開催された東京オリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場は、今や姿かたちすらない。

 老朽化も理解できる。しかし、2020年の東京オリンピックのためにその歴史的な建造物を壊してから「建てる資金が足りない」というのは、あまりにお粗末ではないだろうか。

 1964年の東京オリンピックは、日本の戦後復興を世界にアピールするため国民のおおくが開催を待ち望んだと聞くが、2020年の開催はどうだろうか。

 今季のUCL決勝はスタジアムからも目が離せないものになるだろう。


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