漂流

2015 年 5 月 8 日

 今季のACL(アジアチャンピオンズリーグ)において、過去に川崎フロンターレに所属し、現在は韓国の水原三星に所属するFWチョン・テセは「日本はレフリーに甘やかされている」とした上で「韓国勢は球際で強くいけば日本が何もできないと理解している」と戦い方を熟知していると語った。

 日本でプレーした外国人から見た、率直な感想であり、素直な指摘だろう。

 浦和レッズ、鹿島アントラーズ、柏レイソル、ガンバ大阪が参加したACLはGW中にGL(グループリーグ)最終節が行われ、勝利したガンバがレイソルに続きベスト16進出を果たした。

 チョン・テセが指摘したように日本勢は韓国勢に手を焼いた。今季のACLでも2勝1分5敗。韓国は参加した全4チームがベスト16入りを果たす一方で、日本はその半分である。また、韓国のチームに勝利した日本の2チームがGLを突破しているのがなんとも興味深い。

 ヴァヒド・ハリルホジッチ日本代表監督も日本の球際の弱さを「審判の笛」にあるのでは、とチョン・テセと同様の指摘したのは記憶に新しい。

 興味深い試みを実践しているチームがある。

 サッカーよりもコンタクトプレーが多いラグビーでは、W杯の通算成績は1勝1分18敗と世界との壁をやぶるには至っていない。しかし、エディー・ジョーンズが日本代表監督に就任すると欧州の強豪にも接戦するようになり、昨年は11連勝をかざり世界ランクが一時9位まで駆け上がった。

 「身体の大きさから勝てない」というそれまでの先入観にメスを入れ、組み方を変えたスクラムでは世界を押し返すまでになっている。タックルでも格闘家を招聘(しょうへい)するなど、世界で戦える選手にする取りくみに余念がない。

 特筆すべきはエディー監督が語った選手たちに語った「(ピッチの)白線を越えたら人格を変えろ」というコメントだろう。

 サッカーにスクラムはなくとも、ラグビー同様にタックルはある。

 たとえばEURO(欧州選手権)W杯、EUROの史上初の“連覇”を成し遂げたスペイン代表選手のおおくがバルセロナとレアル・マドリーに所属し、その両チームでエル・クラシコが行われる。試合中のタックルには入り乱れての“言い争い”があり、もみ合いのない試合は記憶にない。

 試合後に「一部の選手とは関係が終わった」と選手たちがコメントするが、代表チームに戻ると関係を修復させ、タイトルを獲り続けたメンタリティが彼らにはある。

 欧州のトレーニングやテクニックを真似て、近年の日本サッカー界の躍進があるのなら、メンタルの変化も求めたい。いくら技術や組織力が向上したとしても、ラグビー界にみる「戦える選手」を育てなければ、世界との間隔は埋まらずに現状を漂うだけの可能性が高い。


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