享受

2015 年 5 月 1 日

 休日にサッカー観戦をすることは、1993年のJリーグ誕生前からあった全国各地のありふれた家族の“行事”だったはずだ。子どもの試合、お父さんの草サッカーでも観戦には変わりない。

 しかしJリーグの誕生によって、行事が“興行”に変わったチームがある。また、その年を境に全国的な娯楽にもなったはずだ。プロ同士の試合に足を運び、観戦料を払い、スタジアム内で喜怒哀楽を体感する。

 Jリーグ創成期にあった爆発的な人気が影をひそめても、日本サッカー協会がかかげた「Jリーグ100年構想」のもと地域密着をかかげ続け「わが町にもJリーグのクラブを」といった夢や希望を捨てなかったチームが今日の成功を享受(きょうじゅ)している。

 29日の祝日では各地でJリーグが開催され、J1で9試合、J2で11試合、J3で6試合、全国各地で全カテゴリー26試合が開催された。サッカーは良くも悪くもロースコアのスポーツであり、それゆえに野球というスポーツが根付いたこの日本では新たなファン獲得がむずかしいとも言われている。

 しかし、J1清水エスパルス対モンテディオ山形では前半を3-0で終えた清水が後半終盤に山形の怒涛(どとう)の攻撃で同点に追いつかれ、3-3で試合を終えている。

 J2では愛媛FCとギラヴァンツ北九州が対戦し、前半を2-1と愛媛リードで折り返すが後半に2点を入れた北九州が逆転に成功している。J3ではレノファ山口FCとFC琉球の一戦では山口が先制するが3失点、その後同点に追いつき終了間際に決勝点を決め、山口が大逆転勝利に成功している。

 たとえサッカーがロースコアのスポーツだとしても、前途のように1試合で大量得点が生まれる「幸運な試合」と言われる“熱戦”に巡りあうことができる。

 また、その3試合の清水以外は1993年以降にプロになったチームである。いわゆる「オリジナル10」ではない。

 10チームでスタートを切ったJリーグは2015年の現在では52チームまで増え、創設の年こそ前後するがJリーグ誕生によって志を抱き、粛々(しゅくしゅく)と活動をつづけてきた成果であるのは見逃せない。

 29日の昭和の日は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と、国民の祝日に関する法律にはそのような趣旨が綴(つづ)られている。

 オリジナル10以外の42チームの創設者たちはどこか似た感覚で「わが町のクラブ」の今日を眺めているだろう。

 ゴールデンウィーク期間中の5月2日、3日、6日にJリーグが開催される。期間中に故郷に帰省される方もいるだろう。たとえ大きなメディアに取り上げられなくとも粛々と活動をつづけている地元のクラブの活躍を、地元のスタジアムに足を運んで観戦してはいかがだろうか。


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