初陣

2015 年 3 月 29 日

 1月にオーストラリアで開催されていたアジア杯は、ホスト国の初優勝で幕を下ろした。

 そのオーストラリアは26日、ドイツとの国際親善試合を2−2で引き分けた。W杯王者に先制されるが、新アジア王者は前半40分に同点に追いつき後半5分に逆転に成功する。しかし後半36分に追いつかれ金星を逃した。

 ドイツはブラジルW杯を制覇後、主将のDFフィリップ・ラームが代表を退くなど来年に行われる欧州選手権制覇のため世代交代を行っている。世界を制した4−2−3−1の布陣から、この日は3−5−2を試みるなど2006年からチームを率いるヨアヒム・レーヴは更なる高みを目指している。

 勝者であるドイツの試行錯誤は今後も続くだろう。

 27日、ハビエル・アギーレ監督を解任後に日本代表監督に就任したヴァヒド・ハリルホジッチ氏はチュニジア代表を大分県に迎え2−0で下し初陣をかざった。

 チュニジアは2010年と14年のW杯出場を連続して逃しているが、この日はアフリカの底力を十分に感じさせるチームだった。現在のFIFAランクを見ても日本の53位より格上の25位のチームである。加えて、今年1月に行われたアフリカ王者を決めるアフリカネイションズ杯ではベスト8に進出している。

 チュニジアは25日の午後に来日した影響か、後半に入ると息切れをみせたが前半は両者とも攻守の切り替えが速く、「新監督の初陣」といった興味以上に試合を楽しめたファンも多かったのではないだろうか。

 相手にボールが奪われた瞬間に、いかに速く奪い返すか、その姿勢が強く、速いチームが昨今のサッカーシーンを彩っている。

 ブラジルW杯でのドイツを「相手にボールが渡ってから、ドイツの攻撃が始まる」と、数多くの識者が総括した。優勝への階段の途中、のちにW杯王者となる相手を決勝戦以外で苦しめたのはアルジェリアであり、そのチームを率いた監督こそハリルホジッチその人である。

 日本での初戦は、これまでの戦績やブランドで選ばず、自らの目で選んだ選手を前半からに起用し、試合を通して万事休すといった悪い場面がなかったのも日本中のファンが新監督の評価を高くしたことだろう。

 サッカーはよく「試合終了のホイッスルは、次の試合へのホイッスル」と語られる。「試合」の部分を「W杯」にすると9ヶ月の遅れが日本にはある。

 日本にとって、新監督の初陣を勝利で終えたことは少なくとも自信になった。しかし、新アジア王者がドイツの地で世界王者を最後まで追いつめたことで得た自信に比べれば、どうだろうか。

 両国が得た自信は目には見えない。しかし、守備への速さと手数をかけない攻めの速さは、長年追い求めている「日本人らしいサッカー」に近づいてはいないだろうか。


コメントをどうぞ