安直

2015 年 2 月 24 日

 来月27日に予定されている国際親善試合チュニジア戦まで、1ヶ月を切ろうとしている。

 ハビエル・アギーレ前監督が解雇されてから、後任監督はいまだ決まっていない。いかに2月が日数の短い月だとしても、決定せずに今月を終えることに違和感を覚えるファンも少ないはずである。

 将来を大きく決めてしまう決断は察することができる。そこに“今回から”疑惑があるか、ないか、まで精査しなければならないのも理解できなくもない。だが、それらの期間に開幕を控えるJリーグの各クラブは調整試合をこなし、“代表監督”が選手を見定める機会を失っているのは確実に時間の損失である。

 世界的なビッグネームや“日本人の特性を知る”監督が日を追うごとに増えている。

 だが、忘れてはならないのはアルベルト・ザッケローニ前監督の足跡と、アギーレ前監督を選んだ理由である。「W杯で勝ったことがある監督」という命題から脱線することなく、新監督を選んでもらいたい。

 そもそも日本のW杯の出場回数は5回である。

 過去の日本代表監督がW杯において勝利をもたらすことができた監督は、フィリップ・トルシエ氏と岡田武史氏の2人のみである。両者とも1998年フランスW杯を監督として経験し、前者は2002年の日韓W杯、後者は2010年の南アフリカW杯でベスト16入りの快挙を成し遂げている。

 W杯の雰囲気を知っていたことも両者に精神的なゆとりを与えていたのは想像に難しくない。たとえば、初めて歩く道と一度でも歩いたことのある道では感覚が異なるように、その道を“肌感覚”で知っていることが重要ではないだろうか。

 自国民からの痛々しいほどの重圧、ベンチからの光景、選手のコンディション作りや精神状態といったものはW杯を監督として経験した者でしか知り得ない感覚である。

 いかに選手として大舞台を経験したとしても、いかにクラブの監督として一定の評価を得ていたとしても、W杯を監督してチームを率いることは全くの別次元なのは想像に難しくない。

 それでも強豪国の監督には、初めてのW杯でW杯制覇を成し遂げている者が幾人かいる。直近だとスペイン代表を率いるビセンテ・デル・ボスケ監督が思い出されるが、監督の能力もさることながら100年近い歴史がある強豪国のサッカー協会と20数年の日本サッカー協会との比較では、いささか失礼にあたるだろう。

 日本人の特徴を知っている、強豪国の監督と親交がありテストマッチが組みやすい、といった安直(あんちょく)な理由で日本代表次期監督を選んでは進歩がない。成功とは言えなかった道で、更なる失敗を積み重ねてしまうことだけは避けねばならない。

 教訓と言われるものは、そういったものではないだろうか。


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