情勢

2015 年 1 月 19 日

 2000年代以降のアジア杯優勝国は日本とイラクのみである。

 1993年、日本はドーハの悲劇を体験し、そこから劇的なほどの成長をしていく一方、イラクには内紛や戦争があり、国の象徴サッダーム・フセインが斃(たお)れたりと、サッカーをしている状況ではなくなったのは周知の事実だろう。

 しかし、近年のイラクがサッカー界に残している成績には目を見張るものがある。

 2013年、トルコで行われたU-20W杯では4位に輝き、翌年の1月にオマーンで開催されていたAFC(アジアサッカー連盟)U-22選手権では大会を制覇している。

 その大会での日本代表はGL(グループリーグ)で苦境に立たされていた。2試合を戦い、2分けで最終節オーストラリア戦を迎え、その試合で4-0と劇的な大勝で準々決勝進出を決める。

 迎えた準々決勝ではイラクに0-1で敗北を喫する。スコアだけを見ると“惜敗”だが、スコア以上の差があったことを覚えているファンも多いのではないか。

 同年9月、インチョン・アジア大会で再びイラクとGLで対戦し1-3で敗北を喫している。その後、彼らは3位に輝いており、それらの大会の中心メンバーたちで現在開催されているアジアカップ2015に挑んでいる。

 未だイラク国内の情勢が安定しているとは言いがたい。実際、今大会で指揮をとるハキーム・シャーキル監督は今大会のみ“レンタル”でチームを率いている。その事だけでも困難を物語っている。

 MF本田圭佑がゴールポストに嫌われた場面が幾度もあったが日本代表はイラク代表に1-0で勝利し、MF遠藤保仁が国際Aマッチ150試合出場の大記録を勝利で祝った。

 2002年から日本代表のユニフォームに袖を通し続けるMFは、イビチャ・オシムが監督を務めるとチームの中心として存在感を増し、やがて大黒柱として、その場所を守り続けている。

 そんな遠藤も34歳になりベテランの域に入っている。

 数年前から後継者が待たれ“ベテランMF”を脅かす存在が現れていないのが現状だ。それをハビエル・アギーレ監督が見出すのか、選手の自発性によるものなのか、今後も注目すべき日本サッカー界の課題だろう。

 その点、これからのイラクは日本にとって大きな脅威になるだろう。

 背番号10を背負う31歳のFWユニス・マフムードが後半10分に退くと、若手中心になり攻撃に鋭さを増したのは見逃せない。今大会の登録23人中、19人が23歳以下の若いチームが大会中に大きく伸びるのは想像に難しくない。

 仮に日本が決勝戦までたどり着いた場合、その相手がイラクだとしても不思議ではない。彼らが若年層の国際舞台で結果を残す一方で、日本はその予選を突破出来ていない現状もある。

 環境や境遇に恵まれなくとも結果を残しているイラクの若手選手から学ぶものは多い。


コメントをどうぞ