奮起

2015 年 1 月 14 日

 第93回全国高校サッカー選手権決勝戦が埼玉2◯◯2スタジアムで行われ、石川県代表・星稜高校が群馬県代表・前橋育英高校を延長戦の末4-2で下し、初優勝に輝いた。

 2年連続で決勝戦に進んだ新王者は昨年と場所こそ違うが、同じ状況で守りに入らず攻めに出て奪いとった勝ち越し点は、1年前の苦い経験によるものだろう。

 初の北陸勢対決だった昨年の決勝戦、星稜高校は後半86分まで2点のリードがあり攻撃を牽引していた主将の寺村介をベンチに下げる。ところが、富山県代表・富山第一高校に87分に1点を返されると後半アディショナルタイムに同点弾、延長後半9分には逆転弾を許し、ほぼ優勝を手中に収めながら逃した苦い過去がある。

 初の決勝戦の舞台を戦った前橋育英高校は、初の大舞台からか緊張がみられ、ミスから前半11分にPKを献上し先制点を許す。その後は本来の姿をみせ、一時は逆転するが同点弾を決められ、突入した延長戦では逆転、追加点を許し優勝には及ばなかった。

 前回大会決勝戦の舞台を経験している選手が星稜高校には4人を数え、緊張感という部分の差が歴然なのは言うまでもない。その舞台にたどり着く戦い方とその舞台での戦い方も心得ており、大会が進むにつれ大量得点で勝利している。目標の具体性といった部分でも星稜高校は他の高校を圧倒していたのは結果が示している。

 たとえば、4年に一度開催されるW杯では決勝戦まで戦うことを想定するチームは試合ごとに調子を上げていく。毎年開催される選手権では、前大会準優勝校は優勝までの道のりと決勝戦の緊張感を肌で知っていた。河崎護監督を交通事故によって欠いての選手権制覇は、ひとえに継続性と経験に支えられた偉業とも言い換えることができる。

 これが現王者だと状況は全く異なっていただろう。

 オーストラリアで開催されているアジア杯は、グループリーグ第一節最終日に登場した日本代表はパレスチナ代表を4-0で下し、連覇に向け好発進を切った。

 王者の風格さえあった。

 たとえ内戦が続くパレスチナにとって国民の希望を選手たちが背負っていたとしても、たとえサッカーでは何が起こるか分からない希望を託せるスポーツだとしても、それら希望を王者は木っ端みじんに打ち砕いてみせた。

 思い返せば1988年、日本はこの大会からアジア杯に初挑戦し、結果は1分3敗と1勝もできず大会を去っている。その4年後、選手のプロ化を見据えハンス・オフト監督を招聘(しょうへい)し、初優勝を成し遂げている。継続性と経験はこの時代にも垣間見ることができる。

 格下を圧倒し、風格はあった。イエローカードも出されず、気品もあった。足りないものはレギュラー陣を脅かす、サブ組の奮起だろう。


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