不倶

2015 年 1 月 11 日

 全国高校サッカー選手権大会は1977年、大阪から首都・東京に開催地が移され第55回大会が行われている。この大会から聖地・国立競技場が使われ、幾多の名勝負を記録し、ファンの記憶もまた色濃いものにしてきた。

 30日に行われた開会式も例年の国立競技場ではなく、駒沢競技場を使用する。夏のインターハイを制した福岡県代表・東福岡高校と、今年度をもって閉校する“地元”東京都代表・三鷹高校の出場もあり、当日券も完売した開幕戦は“聖地”でなくとも熱気に包まれていた。

 第93回全国高校サッカー選手権準決勝が埼玉2◯◯2スタジアムで行われ、例年にない空席が目立つスタンドではあったが、石川県代表・星稜高校が神奈川県代表・日大藤沢高校を3-0で下し、群馬県代表・前橋育英高校が千葉県代表・流通経済大学付属高校をPK戦の末に下した。

 第92大会の決勝戦、延長後半に勝ち越し点を許した星稜高校と、ベスト4の壁に阻まれること通算4回、5回目にして鬼門を打ち破った前橋育英高校とで争われる12日の決勝戦は、どちらが優勝しても初の栄冠である。

 その同日アジア杯2015の初戦を控えるA代表は、大会前から揺れている。

 スペインに端を発した八百長疑惑は日本のみならず、アジア杯開催の地オーストラリアでも日本を率いるハビエル・アギーレ監督には“容疑の目”が向けられている。

 同監督にとって、たとえアジア杯を制覇しても清廉潔白(せいれんけっぱく)にはならないが、汚名を晴らす意味でも大会連覇を目指す、不倶戴天(ふぐたいてん)の決意をもって大会に挑んで欲しい。

 少なくとも勝つことでしかファンは認めないだろうし、優勝を逃せばその時点での解任は免れないだろう。日本サッカー史上、アジア杯を前にこれほど窮(きゅう)地にいた監督はかつていない。

 第93回全国高校サッカー選手権に出場した1,2年生にとって、負けても94回大会がある。地区予選を勝ち抜けばそれに参加できる権利があり、勝ち抜けば星稜高校のように2年連続で決勝戦に進出するチャンスがあり、悲願の決勝進出を果たした前橋育英高校もまたそれを示した。

 そうして、今年こそ勝って欲しい、と願うファンを生み、作ってきた歴史がある。

 恐らく、アギーレ監督は優勝を逃した場合はチャンスすら与えられないだろう。また、負けた時点であたかも罪人のような扱いを受けるのは想像に難しくない。ならば連覇した場合、日本サッカー協会が容疑をかけられた監督をどう扱うか、気になるところではある。

 よい歴史を築いていくには、反省から学び、変革し続けていくことが必要なのは93回を数える高校サッカー選手権が示している。そうでなければ、同大会は未だ大阪で行われていたはずである。


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