権勢

2014 年 12 月 16 日

 ナビスコ杯、リーグ戦に続き、第94回天皇杯を制したガンバ大阪が国内3冠を成し遂げ、今季を有終の美で終えた。この偉業は、鹿島アントラーズ以来14年ぶりの快挙だが、J1復帰1年目のチームでは史上初である。

 昨今のJリーグを振り返ると、もともと力のあったチームがバランスを失い、徐々に順位を落とし、降格圏をあらそい、そのシーズンか翌年に降格するのが傾向として見られる。

 それまでぬるま湯だった湯が、徐々に沸騰して行き場を失う、ゆでガエルの話ではないが「名門」とよばれているチームが昨今J2を経験しているのは興味深い。

 2年前のガンバ、昨季のジュビロ磐田が辛酸を嘗(な)め、それらを考慮すると、今季の最終節で15位にすべりこみ降格を逃れた清水エスパルスの来季の動向は見逃せない。

 今季のすべてを勝ち獲ったガンバをみると興味深い。

 2011年を3位で終えた名門は、2012年は開幕から監督人事でもたつき、J2降格に向かっていった。10年間監督を務めた西野朗が作った屈強な骨組みは、あたかも“はりぼて”だったかのように脆(もろ)くも崩れた。

 初のJ2を戦った昨季、エスパルスを復活させた長谷川健太監督を招聘(しょうへい)する。2012年のチームは優勝したサンフレッチェ広島を上回るリーグ1位の67点を記録しながらも、失点はリーグワースト2位となる65点、数字の上でもバランスの欠如を示している。

 昨季は失点数リーグ3位となる46点、得点は他を寄せつけない99点で堂々の1位。西野政権の10年をかけてみがき抜かれた攻撃サッカーを土台に長谷川監督の規律と守備が加わり、今季J1に復帰し、序盤こそ結果に恵まれなかったがその後は着々と順位を上げ、かつてあった権勢を終盤に取り戻した。

 J2に降格しても主力陣がチームを離れることなく残留したのも大きいが、1年をかけて作り上げた守備がJ1でも通用し、失点数がリーグ2位の31点は全チームが見逃せない結果に映ったはずだ。そして16位から優勝を果たしたガンバの足跡は後世まで語られるものになるだろう。

 ところが、来季から2シーズン制がスタートする。

 観客数減少を防ぐための策とは聞くが、サッカー先進国は1シーズン制である。今後も賛否両論は続くだろうし、答えは何より動員数を作るファンが示すだろう。

 14日に行われた衆議院議員総選挙では過去最低の投票率を更新した。そのことに対し、「権利をもった国民が、その上にあぐらをかいている」という国政を担うお偉方からの発言があった。

 ずいぶんな言い草だが、たしかに選挙権をもった国民は選挙に行く義務はある。選挙と違い、ファンはスタジアムに行く義務は無論ない。来季のJリーグではファンに興味をもたれる試合を期待したい。


コメントをどうぞ