因縁

2014 年 12 月 9 日

 今季の「J」の戦いが終了した。
 最後まで混戦だったJ1は9年ぶりにガンバ大阪が王座奪還を果たす。三つ巴の戦いでむかえた最終節(34節)は、J2降格が決定していた徳島ヴォルティスと0−0のスコアレスドロー。しかし、2位浦和レッズと3位鹿島アントラーズが敗戦したことで優勝が確定した。

 7月のリーグ再開後、降格圏の16位にいたが地道に勝ち点をつみ重ね、首位との勝ち点差14を縮めての優勝はリーグ史上初の快挙となった。今季ほとんど首位をゆずらなかったレッズにとって、32節のガンバとの天王山での敗戦、33節サガン鳥栖のドローが優勝を逃す要因になった。

 J1昇格プレーオフは6位モンテディオ山形が3位ジェフユナイテッド千葉を1−0で下し、4年ぶりにJ1復帰。2012年からJ2年間順位3位から6位によって争われるプレーオフが始まって以来、これまで6位のチームが優勝を果たしてきたが、大分トリニータも徳島も1年で早々にJ2降格を余儀なくされている。

 負ければ終わり、といった緊張感を生む試合は注目をよび、首都圏開催ということもあり興行として成功しているが、強化につながっているかは疑問ではある。

 この結果をくつがえす意味でも、山形には来季J1残留をまず期待したい。昇格に大きく貢献したGK山岸範宏を中心とした守備が日本トップレベルで通用するか、もまた来季の見どころの一つだろう。

 J2J3入れ替え戦第2戦は、J2カマタマーレ讃岐がJ3長野パルセイロを1−0で下し、J2残留を果たした。長野は昨季JFL(J3)を制覇したが、J2ライセンス未申請、ホームスタジアム改修工事など、クラブにとって“不幸”が重なり、昨季の入れ替え戦をカマタマーレに譲った過去がある因縁の相手だった。

 決勝点を記録したFW木島良輔は、長野にとってライバル関係にある松本山雅の“元”選手である。故DF松田直樹氏を慕い松本に移籍し、同氏が亡くなった際、涙ながらにインタビューに答えている姿を覚えているファンも多いのではないか。その後、東京V、昨季からプロ選手として8チーム目となるカマタマーレに移籍した35歳の“苦労人”はチームのJ2残留に大きく貢献した。

 “今季”の敗戦を受け、レッズのファンはガンバの敗戦を忘れないだろうし、ジェフはモンテディオを、パルセイロはカマタマーレを、松本の“元”FWもまた忘れはしないだろう。

 そういう因縁こそサッカーというスポーツには必要な要素である。

 世界のリーグを見回しても、憎しみにも似た因縁は珍しくはない。その矛先(ほこさき)が間違った方向にさえ行かなければ、毎年のように観客数減少が叫ばれる「J」であっても、その戦いをスタジアムで見たくもなり、感じたくもなるのではないだろうか。


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