研鑽

2014 年 10 月 16 日

 ハビエル・アギーレは1−0で勝利したジャマイカ戦を前に「ボールを持ったら果敢に攻めろ」と選手たちに伝え、アグレッシブに行け、と姿勢を示していた。

 その言葉に呼応するように選手たちも力強く走り、決勝点となったシーンでは日本にボールが渡るとMF柴崎岳がハーフウェイラインから走り、ゴール前でMF本田圭佑から出たパスに放ったシュートがオウンゴールを誘発した。

 試合後に日本代表監督は満足感を示し、「ボールを奪ったら即攻撃という方程式でブラジルに勝てるかもしれない」とまで語った。

 ブラジルとの国際親善試合がシンガポールで行われ、0−4で日本が大敗した。

 日本にも勝機はあった。劣勢を強いられながらも90分を通じてチャンスを数多く作り、ピッチコンディションとは無関係の場面で“セレソン”らしからぬミスも多くみられた。アギーレの言う「勝てるかもしれない」が違った場面でみられた。

 だが、「ボールを奪ったら即攻撃」という“方程式”がこの試合ではほとんど当てはまらなかった。技術と経験でブラジルに勝てないと日本代表というチームが分かり切っていたのなら、走らなければ勝利は非常に困難なものになってしまう。

 実際、前線にボールが収まったときにジャマイカ戦でみられた後方援護はほぼなく、ボールホルダーが孤立する場面を多くみられるようではこのクラスからの勝利はむずかしい。

 日本と同じような展開でブラジルが瞬時に3人4人と駆け上がっているのを見ると、より顕著(けんちょ)に映ったのは誰の目にも明らかだろう。

 王国復活を任せられたドゥンガ監督は、ブラジルW杯のメンバー半分を選出していない。そのことを「一度ポジションを得たらその座を守るために必死になれ」と語り、「失ったら取り返すまでに長い時間待つことになる」と“王国”の選考基準を示唆している。

 その部分だけをみると日本は“主力”と目された選手たちがベンチに座り、挑んだ“控え組”はもっとアピールできたのではないだろうか。

 ドゥンガは選手たちに競争意識、勝利至上主義、献身、努力、労力を惜しまないことを当然のこととし、レベルアップのために自分自身を研鑽(けんさん)できる選手が理想だと話している。

 ジャマイカ戦から6人もの先発を変えたアギーレの選手起用について賛否両論あるが、来年1月のアジア杯に向けた選手選考だとしている。

 アルベルト・ザッケローニ前監督の場合は、幸か不幸か就任から負けなしの道を歩んだ。そのことによって「この監督なら」と考えたファンも多かったはずだ。しかし、その道の先に待っていた結果は周知の事実だろう。

 このブラジル戦の惨敗が必要な経験だった、と思える日が来ることを期待したい。


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