規律

2014 年 10 月 7 日

 監督には好みがあり、それらによって日の目を見る選手もいれば、当然そうではない選手も出てくる。

 2012年欧州選手権の準決勝、イタリア代表FWマリオ・バロテッリがスーパーゴールを叩き込んで勝利した翌日、イタリアメディアは日本生まれのゲームキャラクターになぞらえて“スーペルマリオ”と書き立てた。

 強烈なインパクトを残す一方で、サッカー以外のことで関心をあつめる悪童FWは、むかえたブラジルW杯をGL(グループリーグ)敗退で終えてしまう。バロッテリは大会終了直後にも“いざこざ”を起こし、2大会連続でのGL敗退という不名誉な結果に“華”を添える。

 建て直しを図りたいイタリアサッカー協会は、アントニオ・コンテに救いの手を求める。

 4年前、毎年のように優勝争いを繰り広げていたイタリアの名門ユヴェントスは、2年連続で7位という不名誉な結果でシーズンを終えていた。チームのOBであり、クラブ世界一も経験したコンテにチームを託されると1年目に無敗優勝を成し遂げる。

 規律を重んじ、選手個々に苛烈なほどのハードワークを求めることでチームを一つにし、名門にふたたび3連覇をもたらす。ところが“新”名将は今年7月に電撃辞任、翌月にイタリア代表の監督に就任する。

 注目が集まったコンテの新体制で“スーペルマリオ”の選出はなかった。

 それでも新チームはブラジルW杯3位のオランダに勝ち、2年後に開催される欧州選手権の予選において、77年ぶりにノルウェーの地で快勝しているのは見逃せない事実だろう。

 先日発表されたイタリア代表にも、バロテッリの名前はなかった。たしかな才能がありながら、チームの規律を壊すことで知られる選手の招集をコンテは見送った。

 FWカルロス・テベスもまた特殊である。

 昨季、絶好調を維持しユヴェントスの3連覇に貢献したアルゼンチン人は、最後までブラジルW杯に招集されることはなかった。テベスは、当時代表監督を務めていたアレハンドロ・サベージャに対し「彼の家にはテレビがないのだろう」と痛烈に批難している。

 W杯準優勝を果たすが大会後に同監督は辞任。ヘラルド・マルティーノ新体制になってもテベスの招集はない。かねてからFWリオネル・メッシと相性が悪いとも言われおり、チームの調和を乱す言動もその“理由”だとされている。

 日本代表でも、先日発表されたメンバーにFW宇佐美貴史の名前はなかった。今季J2からJ1に復帰したガンバ大阪を2位に押し上げる原動力として知られる22歳だが、ハビエル・アギーレが招集することはなかった。

 規律、調和、才能といった選考基準はそれぞれの監督によって異なるが、勝利のために適した人選をどの監督も行っているのは確かなはずである。


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