謙虚

2014 年 9 月 7 日

 日本代表新監督ハビエル・アギーレにとっての初陣は南米王者ウルグアイ代表に0−2で敗れ、ほろ苦い船出となった。

 これまで日本代表監督にはある共通点があった。

 1998年、日本が初出場したフランスW杯が終わると4年後のW杯に向けて新監督を招聘(しょうへい)してきた。フィリップ・トルシエ、ジーコ、イビチャ・オシム、岡田武史、アルベルト・ザッケローニといった面々たちにとっての初戦は勝利、もしくは引き分けで終えてきた。

 ところが、新日本代表監督は負けた。

 ウルグアイは強い。ここに少し変わった“癖”をもったFWルイス・スアレスが加わると世界屈指の強豪国に変わる。W杯では癖を披露し、それによって出場停止が課せられ日本戦は欠場した。

 この試合に敗れたことは汚点でもなければ、恥ずべきことではない。目を覆いたくなるようなミスによって2失点を喫したが、そのミスをしっかり得点に繋げることができる相手に見習う部分は多いはずだ。

 この試合に勝利したウルグアイ代表を率いるオスカル・タバレス監督は2006年からチームを率い、南アフリカW杯では3位、ブラジルW杯ではベスト16、2011年にはコパ・アメリカを制している。

 同一の指揮官の元で9年間、鍛えぬかれた現南米王者である。

 この日は手術後の静養のため来日こそ避けたが、チームの歴史という部分だけを切り取った場合、1週間も満たない合宿をしたほどでは太刀打ちできる相手ではなかったのは明白だろう。方向性が定まっているチームとこれから方向性そのものを決めようしているチームでは差がないほうがおかしい。

 たとえ、圧倒的に不利だとしても“新戦力”たちは個々の持ち味をみせた。MF田中順也は得意の左足でミドルシュートを果敢に狙ったし、初招集されたFW皆川佑介は188cmの体躯(たいく)を生かした。現役大学生のFW武藤嘉紀にいたってはゴールポスト直撃のシュートを放った。

 この日、先発した11人のうち7人がブラジルW杯を経験した選手だったが、見方によっては「変化」に乏しい試合だったと言えなくもない。少し意地悪な言い方をゆるして貰えるなら、サッカーの知識に乏しいファンが見た場合、新監督になって何が変わったのか、理解した者は多くはないはずだ。

 ブラジルW杯によって日本代表は“現在地”を知った。

 彼らはいったいブラジルの地で何を学んだのだろうか。ウルグアイ戦で見せ場をつくったのは皮肉なことにブラジルに行かなかった選手たちだったのは明白だろう。

 これまで日本がW杯に出場してから黒星スタートした新監督がいないのはすでに述べた。9日にベネズエラ戦を控えるが、新監督がどのような修正をみせるか注目したい。大鉈(おおなた)を振るうのだろうか。


コメントをどうぞ