必至

2014 年 8 月 30 日

 評判が良かった飲食店が“味”を落とし、愛想を尽かされる話はよくある話だが、オーナーや店長が変わったことによって客足を取りもどすのもよく聞く話である。

 9月9日に新横浜スタジアムで行われるベネズエラ代表の観戦チケットの売れ行きが鈍いそうだ。アルベルト・ザッケローニ体制では、たったの1試合だけだった“珍事”がハビエル・アギーレ体制では2試合目にして早くも“出来事”として直面した。

 答えは人によって様々だが、ブラジルW杯での惨敗と無関係ではないだろう。

 ふたたびチケットの完売を目指すために必要なのは、魅力的なサッカーなのか、魅力的な人選なのか、といった部分はアギーレの手腕が大きく左右するだろう。

 それを日本サッカー協会がどのようにサポートするのかも注目したい。興行は大事な収入源ではあるが、そこだけを目的としたかのような招集では真の強化にならないのはザッケローニ体制で日本国中が実感しただろうし、皮肉すぎる形でW杯という集大成の場で示したのは遠い過去ではない。

 新日本代表のメンバー23名が発表され、負傷を抱えている選手の招集は見送られたもののアギーレ監督の初招集はブラジルW杯を経験した12人、初選出5人をふくめた国内組11人という内容となった。

 W杯が終了し、その大舞台を体験した12人は、日本代表新監督から見てその国の代表選手に、ふさわしいか、そうではないかを“確認”されるのは必至だろう。

 「走らない選手は呼ばない」と力強く宣言し、全Jリーガーに門戸は開かれていることも会見中にあった「全員が0からのスタート」というコメントに裏打ちされるように初招集の5人によって示し、その中にはJリーグ出場7試合という選手すらいる。

 つまり、名前や肩書きではないのだ。

 たとえ現段階で、海外組の負傷によって選出された、という見方をされている選手だとしても結果さえ残せば、新監督の見方は変わってくるだろう。与えられたチャンスを生かし、それを機にシンデレラストーリーを綴(つづ)る選手が珍しくないのがサッカーに限らないスポーツの世界である。

 日本代表が発表され「あいつが選ばれるなら」と考えている選手も少なくないだろうし、そういう下剋上こそ、国内組を奮い立たせるだろう。また、初招集された選手を見にスタジアムに足を運ぶファンも増えてくるだろうし、そういう循環こそがJリーグの活性にもつながっていくのは想像に難しくない。

 4年間ほとんどなかった“循環”である。

 魅力的な人選が、魅力的なサッカーに繋がるほど単純ではないが、W杯で好成績を納めるには国内組が強固でなければ成し得ない偉業なのはイタリアが、スペインが、そしてドイツが示してきた。


コメントをどうぞ