謙遜

2014 年 8 月 22 日

 全国の高校野球児が日本一を目指す、全国高等学校野球選手権大会いわゆる甲子園の熱戦が続いている。

 前回大会初優勝に導いた群馬県・前橋育英高校の高橋光成投手、愛媛県・済美高校の安楽智大投手、前回選抜優勝に導いた埼玉県・浦和学院の小島和哉投手、といったプロ注目の選手たちが地区予選で敗退するなど、大会前から波乱を予感させてはいた。

 台風直撃によって54年ぶりに開会式が順延されると、2日連続の全試合中止を招き、こちらは96回続く同大会において史上初の“記録”を樹立した。

 延期されていた開会式直後におこなわれた1日目の第1戦では今年の選抜覇者、京都府・龍谷大平安高校が埼玉県・春日部共栄高校に1−5で敗れると、この勝者も2回戦では福井県・敦賀気比高校に1−10の大敗を喫し、大会を去った。

 絶対的な優勝候補もなく候補と目された強豪も次々と敗れている。1点、2点をあらそう僅差の試合もおおく、高校野球ファンを喜ばせているのが今大会の特徴の一つだろう。

 野球ファンの中で、野球全般をみるファンもいれば「甲子園はみるがプロ野球は見ない」という者がいる。「甲子園だけは見る」という者がいるなか「プロ野球はみるが甲子園はみない」という意見はほぼ聞かない。

 甲子園がなぜこれほどまでに愛されるかは諸説あるが、開催時期中がお盆休みと重なるため同郷の後輩たちに想いを馳せたり、また攻守の交代が素早いことなどの清々しさが挙げられる。なかでも審判の下した判定に抗議をする選手もなく、謙虚に受け答えする監督もまた好感をもたれる要因だろう。

 「突破のチャンスは4%」

 20日、欧州チャンピオンズリーグ予選リーグ1st legが各地で行われ、ブラジルW杯日本代表GK川島永嗣が所属するスタンダール・リエージュはゼニトにホームで0−1で敗れた。敗戦の将となったガイ・ルゾン監督は前途のコメントを残した。

 翌週おこなわれる2nd legでは2−0以上の勝利が本戦出場への絶対条件だが、たとえリップサービスだとしても勝率を一桁と公言してしまうと謙虚をこえ、言われた選手たちが気の毒でならない。ひいき目にみてもゼニト有利だが、やってみなければ分からないのがスポーツの醍醐味である。

 高校野球の世界は変わりつつある。

 初戦を突破した監督は昔から変わらず敗者を尊重するコメントで称えるが、生徒たちはその時点で「優勝」を公言するようになった。優勝を目指すことは決して悪いことではない。むしろ出場する49校すべてが目指すべき目標である。

 教育とスポーツを同じ観点でみることは「日本の悪しき習慣」ともいわれているが、教育が行き届いている選手ほど敗者を称え、仲間に感謝をのべているのは見逃せない事実だろう。


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