苦言

2014 年 7 月 18 日

 1974年、西ドイツW杯が終わると準優勝に終わったオランダ代表FWヨハン・クライフは「美しく敗れることを恥と思うな、無様に勝つことを恥と思え」と言い、優勝した西ドイツ代表DFフランツ・ベッケンバウアーは「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」と言った。

 W杯連覇を目指していたブラジル代表を2-0のスコア以上の差で粉砕したオランダ代表の中心にはFWクライフがいて、西ドイツにはDFベッケンバウアーがいた。

 前途の言葉は、お互いのサッカー観をぶつけあいながら、痛烈に揶揄(やゆ)しあうものなのはよく知られている。やがて両者は監督となり、前者はクラブチームの監督に、後者は代表監督に就任し、互いにチームの一時代を築いていく。

 2010年南アフリカW杯が終わると誰もがスペインのパスサッカーに酔いしれた。バルセロナの中心選手たちで構成されたチームはグループリーグ初戦こそ落とすものの、そこから美しく敗れることなく初のW杯制覇を成し遂げた。

 バルセロナのパスサッカーの種をまいた人物こそがクライフであり、チームの黄金期を監督として過ごし、現在もクラブの御意見番としてチームに苦言を呈(てい)する存在にある。

 ベッケンバウアーは1986年のメキシコW杯では準優勝、1990年イタリアW杯では優勝を果たし、選手、監督として優勝を果たした史上2人目の快挙の人となった。

 強いドイツが復活した。

 クラブレベルではすでに復活していた。12-13シーズンのUCL(欧州チャンピオンズリーグ)決勝戦ではバイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントとで争われた。補足ながら前者は準決勝でバルセロナを2戦合計7-0という大差で破っているのは見逃せない。

 バイエルンは13-14シーズンの国内リーグを史上最速の3月中に優勝を決めるほど他を圧倒した。そのことによって緊張の糸が切れたように格下に敗れ、リーグ無敗記録を53でストップし、ここからよもやの3連敗。その直後にUCL準決勝があり、制覇したレアル・マドリードに惨敗したことを考えるとつい想像を膨らませてしまう過去だろう。

 代表チームも24年ぶりに制覇したW杯で世界を納得させた。

 90年代後半から、クラブでも代表でも世界で勝てなくなったドイツは協会とクラブが一体となって強化に取り組む。ベッケンバウアーもその強化を牽引した一人として知られ、バイエルンの幹部として今日の勝利に結びつけた。

 ブラジルW杯において、美しくもなく、無様にも勝つことができなかったアジアの国々はこれからの4年間をどう歩むか。負けて拍手を贈られているようでは強豪国への道は困難を極めるだろう。強化と重圧は決して無関係ではないはずだ。

 W杯によって中断されていたJ1は19日から再開される。


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