権利

2014 年 7 月 10 日

 ブラジルW杯準決勝、開催国ブラジルは球体が斜面を転がるようにしてドイツに得点を許し1-7の記録的な大敗を喫した。

 W杯開幕前、ブラジルのレジェンドでもあるジーコは「ブラジルが真のW杯王者になるには、開催国で優勝しなければならない」とコメントした。今大会で20回目を数えるW杯で誕生した優勝国は8カ国だが、そのうち自国開催で優勝していない国はブラジルとスペインだけである。

 ブラジルは64年ぶりに巡ってきた機会を逸した。

 かつてイングランドのアストン・ヴィラを率いたジョン・グレゴリーは「いいストライカーがいれば、試合に勝てる。だが、いいディフェンダーがいれば、タイトルがとれる」と語った。

 カテゴリーを問わず大会優勝チームをみるとFWに恵まれなくとも、優秀なディフェンダーは必ずいる。たとえいなくとも今大会のチリやコスタリカのように組織で守るチームがよくみられる。

 ところが今大会のブラジルは、世界屈指のFWネイマールがいて、世界屈指のDFチアゴ・シウバがいた。たとえ彼らがドイツ戦にいたとしてもブラジル代表史上最多失点を防げたかどうかは空想の中でしかない。

 しかし、両者の欠場の理由に雲泥の差があるのは見逃せない。

 FWネイマールは準々決勝のコロンビア戦での負傷により欠場を余儀なくされたが、DFチアゴ・シウバは後半17分にGKのプレーを妨害した行為がイエローカードと判断され累積警告となり欠場を余儀なくされている。

 ただ言えるのは、ブラジル代表のキャプテンである選手がすべき行為ではなかったということだろう。

 サッカー界には「必要なイエローカード」という褒められるべきではない暗黙のルールがある。たとえば、リードを守るためにプレーを遅らせるのが一般的によく知られている。後半17分も早いが、準決勝出場停止がかかったキャプテンがするべき行為ではなかったのは言うまでもない。

 偉大なチームには偉大なキャプテンがいるように、最強チームと呼ばれたチームには必ず偉大なキャプテンがいる。20世紀最強と讃えられている70年大会のブラジル代表にはDFカルロス・アウベルトがいた。

 ペレやリベリーノが代名詞のチームだが、束ねていたのは後に伝説のキャプテンと語られる右サイドバックがいた。ペレ自身も偉大なサッカー選手としてその名を挙げ、各国記者たちが選んだ20世紀ベスト11にも選出されている。

 チアゴ・シウバが選手として優秀なのは疑いの余地がない。しかし、キャプテンである以上、精神的支柱であると同時に常にチームの矢面に立ち、決してチームを窮地に招いてはならない。責任は重大である。が、だからこそチームが優勝した際、トロフィーを誰よりも先に掲げる権利が許されている。


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