払拭

2014 年 6 月 19 日

 W杯の初戦には独特の緊張感があるのだろう。

 初戦を勝利したチームが、決勝トーナメント進出の可能性を飛躍的に上げるのは周知の事実である。そのため先行逃げきり型のチームが増え、面白みに欠ける。大会によっては、初戦に勝利したチームが90%以上の確率で決勝トーナメントに進んでいる。

 ゆえに先制点を奪ったチームはひたすら守る、というのが「W杯の初戦」というイメージをもつファンは多いのではないか。

 しかし、初戦を落としたチームが決勝戦まですすんだ大会がある。90年のイタリア大会ではディエゴ・マラドーナを擁したアルゼンチンが決勝戦まで勝ちすすむが西ドイツに敗れている。ところが、前回の南アフリカ大会ではスペインが初優勝をかざった稀有(けう)なケースもある。

 ブラジルW杯グループリーグ第一節が終了した。全16試合を終え、初戦を勝利したチームが14、引き分けたチームが2である。

 本来あった初戦の、大会の“入り方”が払拭されつつあるのか、サッカー王国ブラジルでの空気がそうさせるのか、前回大会の初戦では6試合あった引き分けが今大会は2試合にまで減っている。

 また今大会は、初戦に勝利した6のチームが逆転に成功して勝ち点3を獲得している。前大会は大会を通じて4しかなかった逆転劇が、今大会はグループリーグ第一節のみで超えているのは波乱のおおい大会を予感させる。

 グループリーグ第二節は、初戦を落としたチームにとって正念場といえる。

 連敗した場合、運悪く4チーム中2チームが勝ち点6とした場合、終焉(しゅうえん)をむかえる。ご存知のとおりスペインがチリに0-2で敗れ、オランダがオーストラリアに3-2で勝利したため、前回王者のグループリーグ敗退が早々に決まった。

 開幕戦でブラジルに敗れたクロアチアがカメルーンに4-0で勝利し、勝ち点3同士対決となったブラジルとメキシコがドローで終わったため、A組は3チームが第三節で決勝トーナメント行きが決定する。

 A組のように初戦を落としたチームにとって、グループリーグ第二節こそ踏ん張りどきであり、正念場といえる。

 大会前、優勝候補にあげられたイングランド、ウルグアイ、ポルトガルも初戦を落とした。そこから這(は)い上がるために選手の調子が上がるのを待つのか、戦術を変更するのか、選手を替えて挑むのか、はチームによって“その先”を決める分岐点になるだろう。

 日本とギリシャ、どちらかが連敗した場合ほぼ敗退が決定的となる。

 「ギリシャには勝てるだろう」と日本国民が考えるように、「日本には勝てるだろう」とギリシャ国民も考えているのは想像に難しくない。ザッケローニ体制最大の正念場はギリシャ戦にある、といっていいだろう。


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