騒動

2014 年 6 月 14 日

 ブラジルW杯 2014が開幕した。2日目を終え、データや机上の空論、理論だけでは決して予想できないニュースが届いている。

 日本人レフリーが開幕戦の主審を任されたこととスペインの大敗が挙げられるだろう。

 日本人がW杯の開幕戦の試合をジャッジする日が来るとは夢にも思わなかっただろう。西村雄一氏は、前回の南アフリカW杯において毅(き)然とした態度で“裁き”を下した日本人レフリーである。特筆すべきは準々決勝でのブラジル対オランダだろう。

 ブラジル代表のMFフェリペ・メロがオランダ代表のFWアリエン・ロッベンの太もも辺りを故意に踏んだ。その行為に躊躇(ちゅうちょ)なくレッドカードを掲げたシーンがある。そのレフリングに目を奪われたのは日本国民だけではなかった。そののち同大会決勝戦では、第4審判としてファイナルのピッチを踏む快挙を成し遂げている。

 そのことが今回の大抜擢につながったのは容易に想像できる。

 しかし、開幕戦の笛を“吹く”という行為は、裏を返せばその大会自体の基準をつくることを意味している。ブラジル対クロアチアとの開幕戦で西村氏はPKにつながる笛を吹いた。そのことが「経験不足」と揶揄されているが、はたして不足していたのだろうか。

 そもそもPKになると、その一部始終がスロー再生によってくり返し流される。ピッチに立つ者以外はその映像をくり返しみることによって判断するが、レフリーは一度きりの瞬間をみて判断をし、過酷すぎるほどの裁きを下さねばならないことを忘れてはならないだろう。

 古今東西、微妙なジャッジはつねに物議の的となってきた。

 そのことでW杯を逃した国もあるし、勝利を逃したチームも数多くある。そこには必ずといっていいほど因縁が付きまとってきた。今回の騒動をクロアチア側から見た場合は「悲劇」だが、ブラジル側から見た場合「4年前は西村によって敗退を決定的なものとされたが、4年後は西村によって勝利をたぐり寄せることができた」と解釈することができなくもない。

 サッカーの歴史とはそういう騒動が、やがて因縁となり、歓喜に繋がっていることを忘れてはならない。

 前回W杯の決勝という舞台で相まみえたオランダとスペインが、今大会はグループリーグ第一節で対戦した。4年前は延長戦の末、1-0で勝利し初優勝を飾ったスペインだったが、4年後の今回は1-5の大敗を喫した。

 この勝利は優勝を確約されたものではないが、前回王者であり、現欧州王者を木っ端微塵に粉砕した結果は、W杯において「無冠の帝王」といわれ続けるオランダにとって、なにものにも変えられない自信となるだろう。

 これからも騒動はあるだろう。日本戦ではよい騒動を期待したいものである。


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