免疫

2014 年 6 月 9 日

 アフリカネーションズカップという大会がある。2年ごとに開催され、2012年に行われた28回大会の王者こそザンビア代表であった。29回大会は昨年おこなわれ(30回は15年)、連覇こそ逃すが決して古くはない“前”王者に4-3で勝利したことは大きな価値があるのではないだろうか。

 0-2とされるが1点を返して前半を終えると、後半28分にFW香川真司、後半30分にFW本田圭佑のゴールで逆転。後半44分に同点とされるが、直後の46分にFW大久保嘉人が逆転ゴールを叩き込んでの劇的勝利は、ブラジルW杯に挑む日本代表に多大な影響を与えるだろう。

 かねてから選手たちは「このチームには勝ち癖が必要」だと語ってきた。

 ブラジルW杯日本代表が発表され、キプロス、コスタリカ、ザンビアを下し、3連勝で本大会に挑む。十分にその癖(くせ)はついただろうし、たとえ先制点を許したとしても、最後まで勝利を信じられる免疫力がこのチームに備わったのは想像に難しくない。

 この免疫力こそ、本大会で日本代表が躍進する原動力になるだろう。振り返ってみると、日本サッカーが、日本代表が、これほど良い形でW杯に挑めたことはなかった。

 1998年、W杯初出場を前にユーゴスラビアと対戦し、0-1で敗れた。好機を作るが得点には至らず、試合終盤に俊足でしられたFW岡野雅行を投入するが、ジョホールバルでイランの守備組織を切り裂いたスピードは、ユーゴスラビアの老獪(ろうかい)な守備のまえには効果的でなかったことを覚えているファンも少なくないだろう。

 その4年後、日韓W杯を前にスウェーデンと戦い、1-1で試合を終えている。10日ほど前に日本はノルウェーに0-3で敗れており、北欧の雄はアジア特有の湿度に手を焼いていた印象が濃い。

 その4年後、ドイツW杯の前哨戦では強豪ドイツに2-2で引き分け、つづくマルタ戦では1-0で勝利するも「史上最強」と称されたチームは、集団としての一体感を最後まで見いだせず予選リーグ敗退を余儀なくされた。

 その4年後、南アフリカW杯の前哨戦では韓国に0-2、イングランドに1-2、コートジボワールに0-2と3連敗で大会に入る。本田をワントップに据えた奇策でアウェイの地で初の大会ベスト16に進出する快挙を成し遂げた。その原動力にはチームワークという武器であったのは広く知られている。

 どの世代が一番強かったか、は空想の中でしかない。現日本代表もまた「史上最強」と称され、4年前の快挙を成し遂げたメンバーがチームの根幹を支えている。

 これから4年後、あるいは8年後に「大会前の日本代表」の過去をふり返るときには必ずこのチームが大きな基準になるだろう。そのためにも本大会での躍進を期待してしまうのは至極自然な流れだろう。


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