花道

2014 年 6 月 2 日

 キプロス代表に1-0で勝利した日本代表は、アメリカで最後の調整をおこなっている。

 日本としてはブラジルW杯と無関係のキプロスが、想像以上に激しく勝負に徹してくれたことにまず感謝しなければならないだろう。仮想ギリシャと目されたスパーリング相手に、たとえ理想的とはいかないまでも、4年に一度の大勝負を前に「勝利」という結果で日本の地を離れることはチームとして大きな“戦果”になったことだろう。

 勝利はチームに結束をもたらすが、その一方で改善点を曇らせることはよく知られている。キプロス戦の後半13分にFW大久保嘉人が投入されると、この日一番の声援があったのは周知の事実だろう。

 声援に応えるかのようにファーストプレイでシュートを放ち、スタジアムをにぎわした。前半をベンチで戦況をながめていた当人が「なぜシュートを打たない」という疑問を体現してみせた。すっかり“ベテラン”の域に入ったこのFWがみせた行動は、ある種で期待をもたせてくれる善き兆候(ちょうこう)になることだろう。

 パスで崩し切った美しいゴールはどのチームにとっても理想だが、シュートを打たなければゴールに入らない。

 攻撃のタクトを揮(ふる)い、日本代表のエースでもあるMF本田圭佑はトップ下に入った。かねてから「自分のポジションはトップ下」だと公言する本田だが、ザッケローニ監督からも「自分の家で仕事を・・」と漏らすように、この日はチームを牽引できなかった。

 所属するACミランでは「自分の家」ではなく右サイドを任されていた。今年1月から理想的な半年を過ごせなかった影響は想像にむずかしくないが、チームの出来を左右してしまう存在だけに“日本代表の本田圭佑”をとり戻して欲しいのは、多くのファンにとってとてつもなく大きな願望だろう。

 こちらの願いの所在は不明だが、ブラジルW杯を最後に「ザッケローニジャパン」は終焉をむかえる。日本サッカー協会とはすでに合意に達しており、本人もまた本大会の成績にかかわらず退任する意向だという。

 W杯は日本代表監督にとって“最後”の花道をかざる大会でもある。

 初出場したフランスW杯から大会が終わると、監督の交代劇をくり返してきた。このことは世界を見回しても、珍しいことではないし、特別なことでもない。初出場から16年を経た日本サッカー界は、そろそろ新たな一歩を踏みだす時期にきているのではないだろうか。

 選手たちは「ザックを男にしたい」とコメントする。男に“する側”と、男に“される側”には万全を期して本大会に挑むことを願わずにはいられない。“男たち”はアメリカの地で3日にコスタリカ代表、10日にザンビア代表と戦い、決戦の地ブラジルに向かう。


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