蓄積

2014 年 5 月 27 日

 2009年、欧州CL(チャンピオンズリーグ)に出場したヴォルフスブルク時代の日本代表MF長谷部誠は、緊張感をただよわせるチームメイトたちの様子に驚いたという。

 オールド・トラフォードの通路でのことである。むろん、長谷部の隣にも真っ赤なユニフォームを身にまとったマンチェスター・ユナイテッドの選手たちが並んでいた。

 長谷部のチームメイトたちは、子どもの頃から“真っ赤な”ユニフォームをブラウン管越しに、ときにスタジアムで見てきた。そのときが国内リーグ、国内カップ、CLの“トレブル”(三冠)を達成したユナイテッドであったりしただろう。

 今季の欧州王者が決定した。

 レアル・マドリードがアトレティコ・マドリードを4−1で破り、通算10度目、12季ぶりの欧州王者に返り咲いた。おおくのファンにとって思い出深い「CL史上最も美しいゴール」と称された、ジネディーヌ・ジダンのボレーシュートから12年の歳月が経ったことになる。

 今季、サッカー史上初最高額の移籍金130億円でレアル・マドリーに入団したガレス・ベイルが逆転ゴールを決め、結果的にこのゴールが決勝点となった。入団1年目で国内カップと欧州制覇に貢献した24歳のウェールズ人があゆむ今後の軌跡に注目したい。

 そもそもレアル・マドリーは世界一のクラブと称されている。タイトル数、歴史、収入はトップに君臨し、たとえ50年代に欧州を席巻したクラブだとしても、いつの時代も揺るぎない地位にある。

 ところが、日本での人気はといえば、欧州人がいだくそれとは多少のズレがある。たとえば、「世界一のクラブは?」という質問を子どもたちに質問した場合、おおくが「バルセロナ」と答えるだろう。その強さをTVでみた者もいれば、生で見たこともある者さえいるのが現代である。

 その者たちがやがてプロのサッカー選手になり、海外移籍を果たし、“生の”バルセロナと真剣勝負をするときが訪れたとき、長谷部のチームメイトたちが体験した緊張感をいだくのは想像に難しいものではないだろう。

 6月12日に開幕をむかえるW杯をみると、いつの時代もブラジル代表が優勝候補に挙げられるものの、毎回のように制覇しているわけではないのもサッカーのもつ面白さの一つだろう。

 世界屈指のビッグクラブに幾人かが所属する現日本代表は27日、W杯前国内最後のキプロス戦をひかえる。4年前のこの時期と比べものにならないほどの期待と人気と地位が現在はある。

 ブラジルW杯を戦う日本代表は、日本サッカー史上最強ともいわれている。名実ともに最強と記憶されるには、ベスト16以上の結果を残すしかない。これから始まる戦いは、大人はもちろんのこと、多くの子どもたちも記憶することだろう。


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