調和

2014 年 4 月 4 日

 サッカー日本代表において、希望の兆しが生まれた3月最後の週末ではなかっただろうか。

 ブラジルW杯開幕まで80日を切り、日本代表の攻撃を司るMF香川真司とMF本田圭佑から朗報がしばらく届かなかったが、その2人が躍動した。両者ともゴールこそ奪えなかったが、ゴールをお膳立てするアシストで“波”に乗りきれない両チームの勝利に貢献した。

 現地メディアからも賞賛された両者だが、本田はこれから週におよそ1回のペースで試合を行うが、香川は違う。4月1日にはUCL(欧州チャンピオンズリーグ)準々決勝が待っていた。先発こそ約束されてはいないが、相手は今大会優勝候補最右翼のバイエルン・ミュンヘンである。

 素早いプレスで相手からボールを奪い、攻守で圧倒するドイツの名門は3月中にドイツ史上最速で国内リーグを制覇する。現ドイツ王者にとって、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドに所属する香川真司は因縁の選手である。

 香川はドイツ時代、バイエルンには一度も敗れてないのは周知の事実である。

 現在との比較はむずかしいが、香川がドルトムントに在籍した2年間で辛酸を嘗(な)め続けたのは他でもないバイエルンである。監督もチーム戦術もすっかり変わった“両者”だが、調子が上がりつつある日本代表MFがどこまでやれるか、は非常に興味をもたせる一戦でもあった。

 同大会優勝候補であるバイエルンは、労を惜しまず走るのが特徴の一つである。ここ2戦でイタリア国内の評価を上げつつある本田も「よく走っていた」と評され、たとえゴールやアシストがなかった試合でも認められる要因を作っている。小手先の技術だけでは生き残れず、走れなければ評価されないのが現代サッカーの基準となっている。

 それを差し引いてもユナイテッドの監督とファンとの関係は最悪にある。

 ファンがお金を集めて飛行機を飛ばし「WRONG ONE – MOYES OUT」という横断幕を上空にかかげた。つまり、「ふさわしくない者 − モイーズ出ていけ」といった監督宛のものである。その試合こそ、香川が“2アシスト”で躍動した3月29日の32節アストン・ヴィラ戦である。

 そもそも1日に行われたUCLファーストレグでは、ホームのユナイテッドが為す術もなくバイエルンに敗れる「惨劇」を予想されていた。その試合に香川は後半から出場し、先制点のきっかけを作るが追いつかれ1−1の引き分けで試合を終えた。

 「勝負に絶対はない」という言葉があるが、まさにユナイテッドはそれを示した。

 だからと言ってユナイテッドが4月8日のセカンドレグでバイエルンに勝利し、準決勝に進出する保証はまったくない。それでも大きな期待をしてしまうのが、サッカーの持つ力ではないだろうか。


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