不毛

2014 年 3 月 17 日

 あってはならない問題がおきてしまった。浦和レッズサポーターが掲げた「JAPANESE ONLY」という横断幕である。

 このことが世間を騒がしているのは周知の事実だろう。

 たとえどんな理由があれ、たとえどこに掲げられたものであっても“日本人以外お断り”を意味するものは差別的な発言であることと理解されてもおかしくない。

 しかし、日本人は「世界で一番差別をする人種」ともいわれている。サッカーのピッチに「外国人」がいれば奇異な目でその動向を追う経験はお持ちではないだろうか。たとえば有望な若手選手の風貌が日本人に見えなければ、「この選手、何人?」という質問が行き交う現実がある。

 もはや高校サッカー界にも珍しくはなく、日本サッカー界の歴史をみると“サムライ”なしでは語れないのが現状だろう。

 過去に「青い目のサムライ」とよばれた人物がいて、現在は“人物評”にもなっている。外国人でありながら、日本人以上に日本を愛した人物に敬意を払い、そう呼ばれてきた。

 デットマール・クラマー氏、ラモス瑠偉氏、ハンス・オフト氏がいなければ日本サッカーの基盤はできなかっただろうし、呂比須 ワグナー氏がいなければW杯における初ゴールは2002年W杯まで持ち越されていた可能性が高かっただろう。

 現代表監督アルベルト・ザッケローニも日本を愛し、日本のために戦っていることを公言し、多くのファンが知る事実となっている。余談ながらわさびをご飯に混ぜあわせた「わさびご飯」が好物だともいう。

 世界を見回しても、自国のみの人間で発展した国をさがすほうが難しいのではないだろうか。

 スペインではオランダ人のヨハン・クライフが哲学を叩き込み、イングランドではフランス人のアーセン・ヴェンゲルが新しい風を入れ、ドイツではスペイン人のジョゼップ・グアルディオラが就任1年目ながら国内のみならず、世界を席巻しようとしている。

 どの国の過去をみても、サッカー界において自国民と外国人は切っても切れない関係にあるのだ。

 “お断り”の真意をたしかめるのは不毛だが、二度と愚行(ぐこう)を繰りかえさないためにもクラブ側は真摯な姿で挑んでいる。勝利した15日のサンフレッチェ広島戦ではスタッフ総出でスタンド周辺に目を光らせ、23日には無観客試合が控えている。加えて制裁金1000万を支払う「罰」を乗りこえたレッズの今季に注目したい。

 現代サッカー界において自国民だけで強くなるのは不可能に近い。日本サッカーも世界の知恵と知識、経験を吸収したことで“現在”が成り立っているはずである。

 また、欧州の記者から見たJリーグのファンの質は世界一ともいわれてきた。今季は、強みである原点に立ちかえる絶好の機会なのではないか。


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