記銘

2014 年 2 月 25 日

 優勝カップの永久保持はできても、その強さまでは保てないものである。近年のW杯、欧州CL(チャンピオンズリーグ)をみても、連覇は「偉業」といわれるほど難しい状況下にある。

 国内リーグをみても連覇は困難なものになっており、なし遂げているチームは少ない。どんな選手にも必ず衰(おとろ)えはやってくる。ゆえに、そのチーム力を維持するためには“新たな力”を取り入れなければ、王者の地位は守れない。

 前年リーグ王者と天皇杯王者によって争われる一戦、Jリーグ開幕を告げる大会ゼロックス・スーパーカップ 2014が国立競技場で行なわれ、サンフレッチェ広島が横浜F・マリノスを2-0で下し、大会2連覇を達成した。

 マリノスは昨季、9季ぶりのリーグ制覇をほぼ手中におさめながらも終盤によもやの失速、その結果サンフレッチェに逆転優勝を許してしまった。

 その1ヶ月後、2連覇をなし遂げた者と、それを許してしまった者とで争われた天皇杯決勝は前半17分、21分の得点を守りきる老獪(ろうかい)な試合運びで2-0のマリノスが完勝、リーグ戦の雪辱を果たした。

 両者はそれから2ヶ月も満たない時間で各ポジションに補強をおこなったが、今季の第一戦はMF野津田岳人、FW浅野拓磨というともに同期入団の19歳コンビの得点で“選手を育てた”サンフレッチェに軍配が上がった。

 前者はチームの下部組織出身者で、後者は90、91回高校サッカー選手権で名を馳せた逸材である。昨今ではJリーグのレベルも上がり、“高校ルーキー”が芽の出にくい環境下にある。

 浅野は、昨季のプロ1年目こそ5試合の出場と無得点に終わったが、今年1月オマーンで行われたAFC U-22選手権、第1節のイラン戦ではハーフウェーライン手前からドリブルで切りこみ、見事なゴールを決めてみせた。

 日本代表選出、Jリーグ得点王2回、唯一となる10年連続2桁得点という輝かしい過去をもつFW佐藤寿人と1年間をともに過ごした浅野の経験は、この日の決勝点ともけっして無関係ではないだろう。

 佐藤もこの試合から6年間まきつづけたキャプテンマークをMF青山敏弘にゆずり、自身と交代した2年目の“ルーキー”もまた待望のプロ初ゴールを決めてみせた。

 リーグ2連覇をなし遂げても、王者はより高みを目指している。

 新しい選手を買うのか、育てるのか。後者には想像以上の忍耐が必要とされるが、それに打ちかてる監督こそ「名将」とよばれ、その名を歴史にのこしてきた。

 タイトルの懸かった一戦だけをみて判断するのは早計だが、選手を育てて勝つ、森保一監督ひきいるサンフレッチェの方向性はけっして間違ってはいないはずだ。

 3連覇をめざす王者は25日、Jリーグ開幕前にアジアCLの第一戦を迎える。


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